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医学部「地域枠」対象限定 厚労省方針 地元出身者を優遇

(2017年7月23日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

 医師の地域偏在解消に向け、厚生労働省が、大学医学部に設けている現行の「地域枠」について、対象を地元出身者に限定するよう、財源負担などで制度を運用する各都道府県に要請する方針を固めたことが分かった。原則として出身県の医学部に通い、卒業後も一定期間、周辺地域の医療機関で働く人であれば、奨学金の返済免除などの支援を行う。地元出身者は地域への定着率が高いとの調査結果もあり、医師不足に悩む地域への対応として注目される。

 厚労省は今月末に都道府県に通知し、2018年度には地元出身者に限定した運用をスタートさせたい意向。担当者は「地域枠制度の効果をより一層高めることになる」と期待する。

 地域枠は、医学部卒業後に周辺地域で勤務することを条件に奨学金を出すなどの制度。現行制度では地元出身者以外も対象に含まれており、卒業生の中には条件を守らず大都市圏での勤務を選ぶ人もいるなど問題点が指摘されている。

 厚労省や文部科学省によると、地域枠は16年度、全国71の国公私大が導入し、入学定員は医学部全体の約5分の1となる計1617人。うち約半数の783人分については、都道府県や各大学が独自に近隣地域の出身者を対象としている。

 厚労省は15〜16年、医学部卒業後、2年にわたって実施される臨床研修の修了者に対する調査を実施。地域枠で入学した人で、医学部の立地地域で勤務先を選び、そのまま定着した割合は68%だったのに対し、地域枠も含めた地元出身者でみると定着率が78%に上っていることが確認された。こうした状況を踏まえ、将来の医療ビジョンに関する同省の有識者検討会は今春、「規制的手段で強制的に(地方に)誘導・配置すれば医師は足りる」としてきた従来の発想を否定。都道府県が地元出身者枠の創設・拡大を大学医学部に要請することなどを提言していた。

 医学部の地域枠 地域医療に従事する医師の養成を目的として、大学医学部が実施している制度。一部の大学は独自に実施していたが、2008年度から全国で本格的に導入された。16年度は全国71の医学部が設けている。条件は都道府県や各大学によって異なるが、医学部卒業後、その地域で一定期間活動を続けることを条件に、都道府県が奨学金を貸与し、義務を果たせば返済免除する仕組みなどがある。地域での勤務期間については「9年間」と定めるケースが最も多いという。

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