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成長期の子どもの体守る 名古屋スポーツクリニック 杉本勝正さん

医人伝

(2017年7月25日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

名古屋スポーツクリニック(名古屋市昭和区) 院長 杉本勝正さん(60)

画像野球のボールの投げすぎによる肩への負荷を説明する名古屋スポーツクリニック院長の杉本勝正さん

 スポーツで痛めた肩や肘の治療を専門とする整形外科医。中日ドラゴンズのメディカルアドバイザーを務め、2006年に開業した「名古屋スポーツクリニック」に通う子どもから大人までの患者の8割は野球やソフトボールの選手だ。クリニックには投球ネットもあるリハビリ・トレーニングルームを完備。負荷が少ない投球方法のアドバイスも理学療法士らと行い、ドラゴンズの選手も通っている。

 名古屋市出身で、子どものころから野球をやっていた。名古屋市立大医学部時代もショートとしてレギュラーで活躍し、ラグビー部も掛け持ちしていたほどのスポーツ好きだ。自身がけがや治療を繰り返した経験から整形外科を選び、岐阜県の大垣市民病院などに勤務。1992年には半年間、米国の権威あるスポーツドクターの下でスポーツ医学を学んだ。

 超音波検査で患者の軟骨の痛み具合や筋肉の硬さを調べて診察。多いのは、度重なる投球動作による肩への負担で、肩関節の一部である関節唇を損傷する症例だ。通常は数カ月のリハビリで治るが、ひどい場合は中高生でも手術が必要になる。

 子どもは軟骨も筋肉も弱いので特に肩や肘を痛めやすいという。だが、野球の試合に出たり指導者に気に入られたりしたくて我慢して投げ続け、悪化するケースが多い。「高校野球で200球以上を投げさせる例もあるが、体への負荷やその後の選手生命を考えれば避けるべき。1日に全力で投げさせてもいい限度は小学校高学年で30球、中学生で50球、高校生でも100球程度」と話す。

 留学経験のある米国と比べて、日本は部活などのスポーツ現場での指導が「根性論」に頼りがちだと感じている。例えば成長期の子どもたちに腕立て伏せを毎日数10回も連続でさせるのは筋肉や関節を痛めやすく、やめた方がいいという。保護者に正しい知識を身につけてほしいと、各地でスポーツ障害予防の講演会も行っている。

 愛知県軟式野球連盟や母校の名市大病院、愛知医科大病院、名古屋大病院などと協力して、野球をしている小学生約800人分の肩や肘の状態を調べるメディカルチェックも行っている。「健診で早期に異常を見つけて適切に治療すれば、好きなスポーツをずっと続けていける。子どもの体を守っていきたい」(細川暁子)

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