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先天性水頭症 原因 繊毛の向きの異常

(2017年7月26日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

名大院グループ解明 治療法開発に期待

髄液の流れ

 生まれつき脳内に髄液が過剰にたまる「先天性水頭症」が、髄液を運ぶ繊毛の生える向きの異常で起こることが、名古屋大大学院医学系研究科の高橋雅英教授、高岸麻紀特任助教らのグループの研究で分かった。水頭症だけでなく、繊毛異常が関わるぜんそくや不妊症の治療法開発にもつながると期待される。(小椋由紀子)

 水頭症は脳中央部の脳室で作られる髄液が何らかの原因で脳室から流れ出ないことなどで起きる。先天性の場合「デイプル」と呼ばれる遺伝子の変異が一因となることが分かっていたが、詳しい発症のメカニズムは不明だった。

 グループがデイプルを欠損させたマウスで実験したところ、髄液の流れる経路に閉塞(へいそく)がなくても水頭症が起きた。電子顕微鏡で観察すると、脳室表面にある長さ10マイクロメートル(100分の1ミリ)ほどの繊毛に異常がみられた。本来、一定方向に波打つことで髄液が流れるが、向きがそろわず絡まった状態になっていたという。デイプルが繊毛の生え方を決める毛根部分のタンパク質の配置を制御しており、欠損によってこの機能が失われたとみられる。

 繊毛は脳室以外にもあり、気管支で異物を排出したり、卵管で卵子を運んだりするが、デイプルはこれらの制御にも関わっている可能性がある。高橋教授は「繊毛の異常で起こるさまざまな病気のメカニズムを解明し、治療法の開発につながれば」と話した。研究成果は26日付米科学誌電子版に掲載された。

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