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障害児家族に息抜きの場 滋賀県立小児保健医療センター 熊田知浩さん

医人伝

(2017年8月1日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

滋賀県立小児保健医療センター(滋賀県守山市) 小児科医長 熊田知浩さん(44)

画像優しく語りかけながら診察に当たる熊田知浩さん

 幼い頃、体が弱かった。風邪をひけば、肺炎や喘息(ぜんそく)性気管支炎になり、入院も余儀なくされた。かかりつけの小児科へ行くと、いつも丁寧に診察してくれる医師がいた。その姿にあこがれ、医の道を志した。

 1998年に京都大医学部を卒業後、滋賀県立小児保健医療センターなどで、てんかんや脳性まひの子どもたちを治療した。2003年、京大大学院に戻り、神経の発達や分化に関わる遺伝子を解析していたが、子どもの発達をしっかり診られる現場への思いが強くなり、07年、センターへ帰ってきた。

 当直をしていたある日、気管切開し、人工呼吸器を付けた子どもが急変。どうすべきか戸惑っていると、子どもの母親から呼吸器の一部の交換を求められ、処置をした。医学的知識のある自分より患者のことを分かっていたのは家族だった。患者に身近な人の意見に耳を傾ける大切さを学んだ。

 現在、自身のもとを訪れる患者は年430人。てんかんや先天異常、神経筋疾患などさまざまだ。医療の進歩で、呼吸器や経管栄養などの医療的ケアを受けながら自宅で暮らす重い障害のある子どももいる。治療では、障害の程度が重いほど、家族の介護の負担が重くなり、疲弊する姿も見聞きしてきた。

 4年前、障害のある子どもと家族が共にくつろげる場を提供する奈良県の団体「奈良親子レスパイトハウス」に出会った。自らが治療を担当する患者と家族を誘い、団体の催しに参加。奈良公園でシカとたわむれる親子らの生き生きとした表情を目の当たりにした。「滋賀でも同じようなおもてなしができないか」。それから1年後、県内の医師や看護師らに呼び掛け、活動を担う「びわこファミリーレスパイト」を立ち上げた。

 重度の障害のある子どもや家族にとって、これまでハードルの高かった旅行や初詣、運動会などを企画。医師や看護師らはボランティアで付き添う。今年6月、重い心臓病などを伴う染色体異常の「18トリソミー」の子どもと家族のために、初の沖縄旅行を実現させた。呼吸器を付けて海水浴を楽しむ姿を見て、可能性の広がりを感じた。

 次の目標は、家族のためのサロンづくり。「介護する家族は社会から孤立していることが多い。診察の帰りに、家族が集まって相談し合える場ができたら」と奔走する。(浅井弘美)

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