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新設の刈谷市立特別支援校 バス運行せず 保護者戸惑い

(2017年7月26日) 【中日新聞】【朝刊】【愛知】 この記事を印刷する
画像小垣江東小に併設する形で整備される特別支援学校=刈谷市小垣江町で

 来年4月に刈谷市小垣江町で開校予定の「市立特別支援学校(仮称)」が、児童生徒を送迎するスクールバスを運行しない決定をした。障害児の保護者らからは「障害者差別解消法で打ち出された合理的配慮に欠ける判断」などと戸惑う声が上がっている。(土屋晴康)

 同校は、肢体が不自由な子どもに障害に応じた専門的な教育活動を提供する目的で、小垣江東小学校に併設される。刈谷市が建設費や維持管理費を負担し、教員の人件費は県がまかなう。

 通学区域となる刈谷、高浜、知立市の児童生徒はこれまで、ひいらぎ特別支援学校(半田市)や岡崎特別支援学校(岡崎市)を利用してきたが、1時間を超えるような長時間の通学が本人や保護者の負担となっていた。

 刈谷市教委は昨年の保護者向け説明会で、新設校では原則スクールバスを運行せず「自立通学または保護者が送迎できる者を入学の対象とする」との方針を示した。

 息子の入学のため、以前からスクールバスの運行を要望していた松本健一さん(42)=同市東境町=は「学校は駅から離れており、送迎ありきの決定だ」と市の決定を嘆く。

 松本さんの息子康汰さん(富士松中2年)は脳性まひで、全身が不自由。現在は中学校まで高齢の祖母が車で送迎しているが、市北部の自宅から新設校までは、朝の渋滞もあり、1時間近くかかる。

 県立校では年々バスが増発されており、松本さんは「逆行するような決定。通学困難な家族に対する配慮がないのではないか」と疑問を呈した。

 新設校の準備を担当する市学校教育課の神谷建喜さんは、これまでもひいらぎ特別支援学校のスクールバス利用の際、集合場所の市役所や市総合運動公園まで、保護者が送り迎えしていたと指摘。「距離が近くなったので、学校まで連れてきてもらうことで、児童生徒の体への負担が軽減される」と説明する。一方で、送迎できない子については「今後も個別に対応を検討していく」としている。

 知的障害、肢体不自由児を受け入れる県内の特別支援学校では、県立の全校でスクールバスを運行。市立でも名古屋市、豊橋市、豊田市にはバスがあるが、瀬戸市だけが運行していない。

 障害者差別解消法 2013年6月に成立し、16年4月に施行された。国の機関、地方自治体、民間事業者に対し、不当な差別的対応を禁止し、障害のない人と同等に権利が行使できるよう、場面に応じて発生する障害・困難さを取り除く「合理的な配慮」を義務付けている。

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