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〈マナビバ・知るコレ!〉 認知症サポーター 

(2017年7月30日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

温かく見守り手助けも

画像認知症の人への接し方を考える寸劇=愛知県一宮市の南部中で

 物事が覚えられず、できていたことができなくなる認知症。高齢社会では、認知症の人に接する機会も増えるでしょう。国は、1時間ほど認知症の勉強をした人を「認知症サポーター」と認める仕組みをつくっていて、その人数は800万人を超えました。最近は、小中学校で講座を受け、サポーターになる子どもが増えています。(佐橋大)

気持ちや感情 学んで対応

 愛知県一宮市の南部中学校では12日、「認知症サポーター養成講座」が開かれました。1年生約300人が受講しました。

 講師を務めた市高年福祉課の保健師、山形祐子さんが、認知症は、脳の病気が原因で起きることを強調。物事を覚えられないだけでなく、お金の計算や日時の把握など、できていたことができなくなることを説明しました。

 続けて、市の職員らが、認知症の人への対応を考える劇を演じました。悪い例として、560円のまんじゅうを買うため1万円札を出したおばあさんに、店員が「小銭があるのに1万円札を出されると困るんですよ」と、いら立ったように言う芝居をしました。認知症でお金の支払いがうまくできないことに無理解です。おばあさんは「もういい」と怒って帰りました。

 良い例も演じました。店員は、優しく声を掛けて、財布から小銭を出すよう促し、一緒に数えて、余りを財布に返しました。おばあさんは、息子の好きなまんじゅうが買えて、うれしそうです。

画像認知症(にんちしょう)サポーターの目印(めじるし)「オレンジリング」

 認知症の人は、周りの人の接し方によって、気持ちや感情が大きく変わるのです。認知症サポーターが必要とされる理由です。受講した生徒にはサポーターの印、オレンジリングが配られました。手首などにはめていれば、介助者らに一目で分かります。

 山形さんは「サポーターは、認知症の人や家族の気持ちを理解して、温かく見守る人」として「できる範囲で手助けして」と呼び掛けました。

 受講した寸田航生さんは「認知症の人の感情を理解できた」、鵜飼彩加さんは「講座はとても分かりやすかった」と話しました。

小中学校での養成が進む

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 認知症サポーターの養成は2005年に始まりました。目的は理解者を増やすことです。今年6月までに全国で27万回を超える講座があり、約892万人がサポーターになりました。

 昨年度加わった約131万人のうち、小中学校で養成されたのは、およそ3分の1にあたる約43万人です。厚生労働省の担者は「子どもたちが大人になるころには、認知症の人はさらに増え、その理解が今以上に必要になる。2年前に作った国の計画でも、学校でのサポーター養成を進める方針を盛り込んでいます」と話します。

 一宮市も2年前、市内の小中学校での講座を本格的に始めました。昨年度、学校で講座を受けた人へのアンケートでは、約7割が、認知症の人の困っていることが「よく分かった」と答えました。

 大人のサポーターには、認知症の人に適切に接して、混乱を和らげることなどが期待されています。一宮市の山形さんは「小中学生は、家庭で『認知症のことを学校で勉強した』と家族に話し、意識を高めてもらうだけでもいい」と話します。

 12年の時点で、65歳以上の認知症の人は462万人と推計されています。25年には約700万人に増える見込みです。国は認知症サポーターを20年度までに1200万人に増やす計画です。大人向け講座は自治体の介護予防(かいごよぼう)の窓口で知ることができます。

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