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「私も産めるかも」 子宮移植 苦しむ女性の希望に

(2017年8月2日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像思いを語るロキタンスキーの会の千東さん(仮名)=4月、東京都千代田区で

 子宮移植の実現へ、名古屋第二赤十字病院(八事日赤、名古屋市昭和区)がプロジェクトチームをつくり、第一歩を踏み出した。対象に想定されるのは、生まれつき子宮や膣(ちつ)が欠損しているロキタンスキー症候群の女性たち。今後、子宮移植をめぐる議論が深まれば、病気への無理解に苦しむ彼女たちにとって朗報となりそうだ。

 「悲しくて悲しくて、毎日部屋にこもって泣いていました」。高校3年の春、同症候群であることが分かったという30代女性は医療関係者を通じ、本紙に当時の心境を打ち明けた。

 何歳になっても生理がないことが不安になり、病院を受診して判明。「周囲は当たり前に生理がきて、彼氏ができたら性交渉がある。私にはない。周りの子は私の病気を知らない。見た目では何も分からない。『(生理用)ナプキンある?』。そんな会話で傷ついていました」。勉強も手につかず、学校では机で一人、寝たふりをした。

 大学進学後、体のことを打ち明け、受け入れてくれた男性がその後、夫になった。「結婚できただけで幸せ。けど人間は欲張り。それ以上の届かない幸せを望んでしまいます。子どものことを考えない日は一日もありません」。周囲が出産ラッシュの、30代の今が一番つらい。久しぶりに友人と会う時は妊娠報告をされるのが怖いという。

 子宮移植について、ドナー(提供者)の負担が気になり、簡単に答えはでないが「自分の体で赤ちゃんを育てることができるなんて幸せ」と思うという。

 「生まれながらに産めない状況が生きる上で重圧になっている」。今年4月、東京で開かれた日本子宮移植研究会の学術集会で、患者らでつくる「ロキタンスキーの会」の千東敦子さん(39)=仮名=が重い口を開いた。中学1年で病気を知り、悩み続けてきた。35歳で結婚。「思い描く未来に進むためには選択肢が必要。妊娠不能のため、子を持つための治療の枠組みに入れてもらえない。私たちにも希望があっていいんじゃないか」と語った。

 集会では、性別適合手術で子宮を摘出した性同一性障害の人がドナーになる可能性も議論になった。「おなべ芸人」として活動する前田かずのしんさん(24)が「手術で取ってしまう子宮も自分のたどった人生の証し。困っている人たちの役に立てれば、自分が女として生まれたのにも意味がある」と話した。

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