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がん 高齢ほど治療控える 85歳以上 痛み緩和だけ 増加

(2017年8月9日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
がん患者年齢別の「治療なし」の割合

 各地のがん医療を中心的に担う病院で、75歳以上の患者には手術後の抗がん剤投与を省くなど、患者が高齢になるほど積極的な治療を控える傾向があるとの調査結果を国立がん研究センターが8日、発表した。

 早期の胃がんでは85歳以上の患者の2割が、痛みを和らげる以外は「治療なし」だった。薬の副作用や手術による体の負担を減らし痛みを取り除くなど、高齢者の体調に合った治療法を選択したとみられる。高齢者のがん医療の実情を大規模集計したのは初めて。ただ実際の医療現場では、治療の加減は医師の経験に任され、医学的な根拠は乏しいのが現状。高齢の患者に合った治療指針の確立が急務となっていることを示した。

 センターは同時に、2008年にがんと診断された人の5年後の生存率も発表。全てのがんの生存率は65・2%で、前年よりわずかに上昇した。

 センターは、がん医療の拠点病院など全国427病院に12〜15年にかかった患者を分析。高齢化が年々進み、15年の約70万件の解析では平均年齢は68.5歳、うち七十五歳以上が36.5%を占めた。

 早期の胃がんでは、治療なしの割合が年齢と共に上がり、75〜84歳は5.9%だったが、85歳以上は19.7%になった。やや進行した段階では、40〜64歳の6〜8割が手術と抗がん剤を組み合わせる標準的な治療をしていたが、85歳以上では1割以下だった。75歳以上は薬を投与しない割合が増えた。

 患者が多い大腸や肝臓などのがんでも、似た傾向が見られた。一方で乳がんや前立腺がんでは、高齢でも薬物治療をする傾向がうかがえた。

 また85歳以上では、がんが進行してから見つかる人が多かった。原因は不明だが、体調が悪くなってもがんを疑わなかった可能性が考えられるという。

 若い年代も含めると、15年に多かったがんは男性で大腸、前立腺、胃。女性は乳房、大腸、肺の順だった。

 がんと高齢化 がんは遺伝子の異常が蓄積して、細胞が勝手に増殖する病気のため、年を取るほど発症の危険性が高まる。がんで死亡する人は人口の高齢化と共に増え、2015年には30年前の2倍に当たる約37万人になった。うち65歳以上が85%、75歳以上に限っても59%を占めた。がんと診断される人や死亡する人は、団塊の世代が75歳を超える20年代後半まで増え続ける見込みで、治療や介護の体制整備がますます重要になりそうだ。

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