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ヘルニア手術 負担軽く 福井県立病院 上田康博さん

医人伝

(2017年8月15日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

福井県立病院(福井市) 整形外科医長 上田康博さん(45) 

画像内視鏡手術の効果などを説明する上田康博さん

 腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症など脊椎(背骨)の疾患に対し、患者に比較的負担がかからない治療法として近年注目されている内視鏡手術。福井県内で唯一の技術認定医として、患者の日常生活や職場への早期復帰を支えている。

 この手術では、患者の背中を小さく切開し、直径1.6センチの円筒形の器具を挿入。その中に内視鏡や手術器具を入れて、内視鏡が撮影する内部の様子を画像モニターで確認しながら手術する。限られた視野の中で器具を細かに操作する高度な技術が必要だが、腰椎椎間板ヘルニアの場合、従来の手術なら5〜7センチだった切開が2センチほどで済むという。

 傷口が小さく、手術中の筋肉への影響も最小限に抑えられるため、術後の痛みも少ない。手術から退院までの期間は5〜7日、職場復帰も3〜4週間ほどと従来の半分に短縮できる。「従来法なら術後の出血や痛みのため、数日間は安静が必要だが、内視鏡手術は早期のリハビリが可能」と話す。これまでの手術なら体に負担の大きかった高齢者でも受けやすくなった。2005年に県立病院に導入した当初、腰椎椎間板ヘルニアだけを対象にしたが、現在は頸椎(けいつい)や胸椎の疾患にも応用している。

 愛媛県生まれ。幼稚園児の時、父の転勤で福井県鯖江市に移った。5歳下の弟が幼少期から中学生になるまで腎疾患で入退院を繰り返したのが、医者を志すきっかけとなった。医学部の受験勉強に追われた武生高校3年の冬、体育の授業で右足のくるぶしの靱帯(じんたい)を断裂。受験後に手術を受けて整形外科に興味を持ち、金沢大に入学した。

 自身も腰椎椎間板ヘルニアを患ったことがある。06年のある日、手術時にあおむけの患者の足を持ち上げた際、腰に激痛が走った。入院先の金沢大病院で受けたのは顕微鏡手術だったが「ヘルニアはものすごく痛く、手術すればこんなに楽になると身をもって知った。内視鏡手術をより一層進めていきたいと思った」。日本整形外科学会による技術認定医の資格を10年に取得。これまでに手掛けた内視鏡手術は600件を超す。

 現在は腰椎椎間板ヘルニアの患者を対象に、さらに負担が軽いとされる先端的な内視鏡手術の導入を目指している。「現状に満足せず、新しい知識や技術を身に付けて自分を磨き続けたい」 (平野誠也)

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