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医師と育児 両立に尽力 公立陶生病院 加藤英子さん

医人伝

(2017年8月22日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

公立陶生病院(愛知県瀬戸市) 小児科部長 加藤英子さん(45)

画像小さく生まれた双子の兄弟の経過を診る加藤英子さん。「子どもとかかわれるだけで毎日が幸せ」と話す

 お姫さまとバラのシールを貼った聴診器を見せ、子どもたちの緊張を和らげる。「もしもしするだけだよ」。先に説明すると、ピタッと泣きやむ子が多いという。小児科医、新生児科医として第一線で働く。同時に3児の母でもある。朝のお弁当作りに休日の試合応援と、多忙でも充実した日々を送る。

 後輩の女性医師からあこがれられる存在。実際は何度も壁にぶつかってきた。産後も働き続ける場合、かつては「男性と同じフル勤務をこなすか、週数回のパート勤務かだけだった」。経験を積むためフル勤務の道を選び、月5回前後の当直や休日の回診、夜間の緊急呼び出しに応じた。小児科専門医になるため学会は子連れで出掛けた。

 最大の壁が立ちはだかったのは10年前。第3子を出産して復帰した時期と、二人三脚で子育てをしてきた眼科医の夫の開業が重なった。それまで勤務していた名古屋大病院から自宅に近い関連の陶生病院に移り、2年間、勤務を続けたが、「育児との両立は心身ともに限界」と、出身の名古屋大の小児科教授に相談を持ちかけた。

 小児科の現場では、医師不足の中、女性医師の割合が増え、離職を食い止めることが課題になっていた。フル回転で働いてきた医師からの相談に、教授は「やる気があるのに勤務を続けるのが厳しいのは、仕組みに問題があるから」と考えた。

 「どうすれば仕事を続けられるのか」。教授から問い掛けられ、調査に乗り出すことに。20〜30代で子育て経験のある24人にアンケートをしたところ、22人が「週30時間」「当直なし」なら総合病院での勤務が可能と答えた。

 これがきっかけとなり、2008年に名大病院小児科と県内外の関連病院が「子育て支援制度」を設立。短時間勤務の医師を受け入れ始めた。その後、当直もある常勤として復帰した医師は7人を数える。

 制度の設立にかかわった自身も常勤に戻った。周産期専門医にもなり、新生児の救命や退院後の経過観察を担う。発達が気になる子の外来、研修医の教育、男女共同参画に関する講演も引き受ける。

 名古屋市出身で「小児科医」は小学生からの夢。子どもが好きという思いがすべての原動力だ。「母としての経験や幸せも世の中に返していきたい」(小中寿美)

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