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地域医療に新たな翼 中日本航空 ジェット機提供

(2017年8月29日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

北海道事業 重症者 過疎地から都市へ

画像今夏から本格運航が始まった「メディカルウイング」に使う小型ジェット機=中日本航空提供

 中日本航空(愛知県豊山町)が、北海道で本格運用がスタートした「医療用ジェット事業」で機体の提供や操縦を始めた。救急医療が主体の「ドクターヘリ」に対し、医療過疎地で入院する重症患者らを高度な医療を提供する都市部の病院に搬送する。医師の偏在を背景に離島などでも需要があるとみて、地域医療を支える医療用ジェットに力を入れる考えだ。(相馬敬)

 北海道医師会などでつくる研究会が道から委託を受けた「メディカルウイング」と呼ばれる事業で、7月末から本格運航が始まった。広大な面積がある道内の医療格差を解消する狙いで、自治体が主体となって事業化するのは全国で初めて。

 中日本航空は4機の小型ジェット機などを医療搬送用に活用。通常は県営名古屋空港に駐機するが、要請があれば、北海道へ向かう。医師らが同乗し、先天性疾患の子どもや脳血管疾患の患者らを、高度な専門医療を提供する病院に運ぶ。

画像医療用機器が備えられた機内=中日本航空提供

 小型ジェット機はヘリコプターの約3倍の速度を出せるほか、2千キロ以上の長距離搬送や夜間飛行もできる。揺れや騒音が小さく、患者への負担が少ない上、広い機内には専用のストレッチャーや人工呼吸器などの医療機器を備えられる。

 中日本航空は1984年にヘリを使った救急搬送を始め、98年から小型ジェット機による患者の搬送をスタートした。北海道の事業には2011〜13年に行われた実証運航から参加しており、85件の出動実績がある。同社が小型ジェット機で患者を搬送した回数は、この実証運航を含めて230件に上る。

 今回の事業は国の補助を活用しており、8千万円の事業費を国、道が折半で負担する。患者の負担は無料だが、中日本航空には1回の出動につき数十万〜数百万円が支払われる。当面は来年3月末まで実施するが、道庁の担当者は「事業の継続と全国的な展開を国に求めていく」と語る。

 中日本航空の江崎泰秀・経営管理部長代理は「高度医療を受けられる医療機関は大都市に集中しており、離島が多い九州・沖縄などほかの地域でも医療用ジェットは有効に運航できる」と話す。飛行機営業課の三井俊男マネージャーも「将来的には対応可能な機体を増やしたい」と意気込む。

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