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産科医確保 険しい道 湖西の分娩施設消え 10年 市、開業誘致へPR

(2017年9月4日) 【中日新聞】【朝刊】【静岡】 この記事を印刷する
画像7月に開かれた学会で医療関係者らに制度をPRする影山剛士市長(左)=横浜市内で

 湖西市内から分娩(ぶんべん)施設がなくなって10年。その間、市内の妊婦の多くは、浜松市や愛知県豊橋市で出産している。身近で安心して出産できる施設を望む声は多いものの、産婦人科医の確保は難しい。基幹病院への集約化が全国的な流れでもある。市はハイリスクでない分娩は何とか市内でと、開業医獲得に全国へラブコールを送り続ける。 (山野舞子)

 「車の中で産まれてもおかしくない状況だった」。昨年4月に長男を出産した女性(34)が振り返る。陣痛が始まり、母親の運転でかかりつけの浜松市中区の浜松医療センターに向かった。その45分間に陣痛は強くなり、必死で痛みをこらえた。到着後わずか2時間で出産した。

 別の女性(30)は豊橋市の産婦人科医院で出産した。週1回の健診に、車で40分の距離を大きなおなかで運転するのは大変だった。「子育て面でより充実している豊橋に引っ越すことにした。安心感は大きな判断基準」と話した。

 市立湖西病院で産婦人科医が不足し、分娩を休止したのが2007年。市内の分娩施設はなくなり、妊婦は車で40〜60分の浜松や豊橋の病院で出産する状態が続いている。

 湖西病院への産婦人科医の確保は極めて難しい状況だ。産科は勤務環境が厳しく、患者からの訴訟リスクが高いことから、全国的に人数が減っている上、集約化の流れもある。勤務環境を改善するため、日本産科婦人科学会などは分娩を扱う地域の基幹病院に医師を集約し、当直などの負担軽減に取り組むことを表明している。

 1カ所に医師を重点配置し、ハイリスクの母体や新生児を24時間体制で受け入れる体制を整えるが、湖西市からは浜松医療センターが最も近い基幹病院になり、この流れは今後も進むとみられる。

 「まずは湖西病院に医師をとの思いはあるが、集約化の重要性も承知している。それでもハイリスクでないお産ができる場所は市内にほしい。地元で安心して産んでもらいたい」と影山剛士市長。市は2016年度から開業する産婦人科医への補助金を打ち出した。

 今年7月中旬には、横浜市内で開かれた日本周産期・新生児医学会のPRブースに自治体として異例の出展をして、全国の産婦人科医に補助制度を熱くアピールした。市の担当者は「補助金だけでなく、開業する土地のあっせんや連携する医療機関との関係構築の支えが必要だと感じた」と話す。

 影山市長は昨年の選挙戦で、市内への分娩施設の確保も掲げた。まだ手を挙げる産婦人科医は出ていないが、「開業には助産師らスタッフ集めや入院施設、高額の医療機器なども必要になる。医師の要望に応じたサポート体制を準備したい。近隣の医師へも含め引き続き勧誘を続けていく」と力を込める。

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