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美濃加茂・木沢記念病院 新病院計画 高まる期待

(2017年9月4日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

がん治療など最先端設備 建設遅れ、市連携…模索も

画像現在の木沢記念病院=美濃加茂市古井町で(一部画像加工)

 美濃加茂市古井町の木沢記念病院が、同市蜂屋町の県生物工学研究所跡地に新病院「総合医療センター(仮称)」の建設を目指している。がんの重粒子線治療装置を県内で初めて導入するなど、最先端の医療環境を整える構想。ただ、用地の取得が遅れ、当初2016年の予定だった完成時期は22年ごろにずれ込んだ。地域医療の充実に期待する市との連携も、まだ不透明だ。(平井一敏)

■市の成長の一助に

 跡地は現病院の北2キロで、市中心部に近い高台の約8万5700平方メートル。現段階の構想によると、新病院は10階建ての入院棟と5階建ての外来棟で構成。入院棟の屋上にはドクターヘリ用のヘリポートを設ける。病床数は現在の452から502に増床。患者用の駐車場は2倍の600台分を確保する。

 隣接して重粒子線治療装置などを備えた「高度先進治療センター」を整備。将来的にはコミュニティーセンターや高齢者用集合住宅を設け、スーパーなどの商業施設も誘致する。現病院は150床を残し、脳機能障害を中心とした療養型や回復期のリハビリテーション施設にする。

画像新病院のイメージ図=木沢記念病院提供

 築40年になる現病院が手狭になったため、病院を運営する社会医療法人「厚生会」が、移転新築を計画した。山田實紘(じつひろ)理事長は「最高水準で最先端の医療がすべて提供できるようにする。地域の公的病院として安心なまちづくりに貢献し、市の成長にもつなげたい」と意欲を語る。

■不測の事態重なる

 市は渡辺直由・前市長時代の12年3月に厚生会と、県から土地を買い受け、病院用地として譲渡する協定を結んだ。これを受け、厚生会は山林だった隣の民有地約6万5千平方メートルも買収し、16年ごろの新病院完成を見込んでいた。

 市は農地転用に必要な測量や造成、調整池建設をした上で14年1月、県から4億7千万円で跡地を取得。整地して1年後には厚生会に譲る予定だったが、14年8月に敷地内の1カ所で環境基準を超す鉛が検出され、除去が必要になった。

 その2カ月前に汚職事件で藤井浩人市長=二審で逆転有罪判決を受け上告中=が逮捕され、市政は混乱した事情も背景にあった。「不測の事態が重なった。大きな事業だけに慎重に進めてきたこともあり、時間がかかった」と市幹部。厚生会に土地が渡ったのは今年6月だった。

■市民に情報公開を

 売却額は造成費などを含めて9億7800万円。新病院の整備費も当初予定の2倍の250億円に膨らむ見通しだ。東京5輪の関連工事需要などにより建築費が高騰しているためで、山田理事長は「今まで市から状況の説明はなかった。できるだけ費用を抑える設計を考えないといけない」と話す。

 藤井市長は7月末、山田理事長とともに市役所で記者会見し、新病院を拠点に医療や福祉の先進地「美濃加茂メディカルシティ」を目指す方針を表明。必要な公共施設を整備する考えも示したが、具体案については「厚生会の構想を見て、どのように関われるかを検討していく」と述べるにとどまった。

 公的病院の建設費などを支援している自治体もある。用地周辺の住民からは「いつどんなものができるか分からない」「知らないところで話が進んでいる」との声も聞かれる。市と病院側の密な連携はもちろん、情報公開により、市民が望む病院造りが求められている。

 社会医療法人 赤字体質の自治体病院に代わって、地域の救急や周産期、災害医療など公益性の高い医療を担う医療法人。医療保健業の法人税が非課税など、税制上の優遇が受けられる。都道府県知事が認定し、7月1日現在で全国に283法人、県内では5法人ある。木沢記念病院は2008年10月に認定された。

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