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広がれ「介護マーク」

(2017年9月6日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

介助者ひと目で分かる 知名度アップが課題

介護マークが役立つ場面の例

 介護が必要な妻のトイレに夫が付き添ったり、女性物の下着を買ったり−。そんな周囲の理解が求められる場面で頼りになるのが「介護マーク」だ。静岡県が6年前に全国で初めて作成して以来、国の後押しもあって各地に広まりつつある。(河郷丈史)

 介護マークは「介護中」という文字を、両手の手のひらで支えるデザイン。静岡県が配布しているマークは縦7センチ、横10センチで、首から下げるなどして使う。

 「マークのおかげで、人の目を気にしなくてよくなりました」。静岡県藤枝市の小栗節雄さん(78)は、妻(73)と外出するとき、いつもマークを身に着ける。妻は認知症があり要介護5だが、見た目では介護が必要とわかりにくい。

 マークを持っていなかったころは、外出先では妻のトイレ介助のため仕方なく男子トイレに一緒に入り、ほかの利用者からジロジロと見られた。妻の下着を買うときも「変態と思われないか」と気になった。マークを使い始めてからは、不審な目で見られることもなくなり「安心感がある」という。

画像妻の介護で使ってきた介護マークを見せる小泉欽市さん=静岡県島田市で

 認知症の妻(71)がいる静岡県島田市の小泉欽市さん(73)は10年ほど前、高速道路のサービスエリアのトイレで不審者と間違われた。妻が個室のドアを開けられずに叫び声を上げたため女子トイレに入り、妻を助けて外へ出ると、叫び声を聞きつけて駆けつけた3人の男性に取り囲まれた。運転免許証を見せて事情を話し、何とか誤解を解いた。「マークがあれば説明しなくてもいい。本当に気が楽になった」と話す。

 静岡県がマークを作成したのは、こうした介護者の悩みが寄せられたのがきっかけ。2011年に県内の市町と協力して配布を始め、厚生労働省も先進的な事例として他の都道府県へ周知した。

 導入する自治体が増えており、静岡県によると、7月1日時点で静岡、愛知、岐阜、長野、茨城、栃木、新潟、島根、佐賀の9県全域のほか、さいたま市や千葉市、相模原市など511市区町村が配布している。全国の配布数は把握できていないが、静岡県内では3月末までの累計で約1万8千枚に達した。

 マークの作成当初は主に認知症の高齢者の介護を想定していたが、障害者介護での活用も注目されている。総務省東北管区行政評価局(仙台市)は1月、付き添いが必要な自閉症の男性の母親からの「周囲の人に分かってもらえるマークを」との相談を機に、東北地方の各自治体の高齢者福祉と障害者福祉の担当者へ活用を呼び掛けた。それに先だって12年度から普及を図ってきた山形市によると、配布対象者の5人に1人が知的などの障害者を介護している人だという。

 課題は、マークそのものの知名度がまだ低いこと。県を挙げて普及に取り組んできた静岡県でも、昨年12月に実施したアンケートでは「見たことがなく、意味も知らない」との回答が47.1%だった。県長寿政策課は「マークの効果をより高めるため、周知の手を緩めないようにしたい」と話す。

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