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周産期死亡率 対策実り大幅改善 滋賀が昨年全国ベスト

(2017年9月9日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する

症例分析 妊婦に注意喚起

画像高橋教授らが作成した胎動カウントのカード

 出産前後に死亡した赤ちゃんの割合を示す「周産期死亡率」で、2016年の滋賀県が全国最低値だったことが、厚生労働省がまとめた人口動態調査(速報)で分かった。これまで全国平均を上回る年が多かったが、滋賀医科大(大津市)を中心に亡くなった赤ちゃんの症例を検証し、対策を講じてきた地道な努力が功を奏したとみられる。(浅井弘美)

 調査によると、妊娠22週以降の死産と生後7日未満の新生児の死亡の割合を示す「周産期死亡率」が、滋賀県は出産1000人当たり2.4人と前年より2.1ポイント改善し、全国平均の3.6人を大幅に下回った。死亡率が最も高かったのは、三重県で5.7人だった。

 県によると、2000〜15年の16年間で、県の周産期死亡率が全国平均を下回ったのは02、03、09、12年の4年間にとどまる。06年には6.2人と全国平均の4.7人を大きく上回り、全国「ワースト3」だった。

画像個々の死亡症例について検証する医師ら=大津市瀬田月輪町の滋賀医科大で

 こうした状況を打開しようと、滋賀医科大総合周産期母子医療センターの高橋健太郎特任教授(65)らが、07年から厚労省の許可を得て、出産前後に死亡した赤ちゃんのデータを保健所で収集。これを基に、診断した医療機関に死亡の経緯や要因などを聞く調査を実施。県内の産婦人科や小児科医計12人が大学に集まり、12年から年5〜6回、死亡症例の検討会を開いて対応策を検討してきた。

 回収したデータを基に分析したところ、死産188件のうち死産を回避できた可能性の極めて高い症例が7件(4%)あることが分かった。中には、妊産婦や胎児の異常見落とし、総合病院への紹介が遅れた医療機関の問題のほか、妊婦が胎動減少や腹痛を自覚しながら受診が遅れた例も少なくなかった。

 高橋教授は、該当する医療機関に電話や手紙で改善を促したほか、妊娠34週以降の妊婦を対象に毎日胎動をチェックするカードを作成。その結果、県内の周産期死亡率は徐々に減少し、14年には全国平均と同値の3・7人となり、全国21位にまで改善した。

画像

 周産期死亡率が全国で最も低くなったことを受け、高橋教授は「10年かけて地道に努力してきたことが報われた。この結果が恒常的になるように、今後も努力が必要だ」と話す。今後は新生児集中治療室(NICU)の増設など、周産期医療体制の整備に向け、取り組みを進める方針で、全国的にも珍しい取り組みは、他県からも注目を集めそうだ。

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