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胎便吸引症候群の予後は?

紙上診察室

(2017年9月12日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

Q 胎便吸引症候群の予後は?

 生後1カ月の孫は出産時に胎便をのみ込み、新生児集中治療室(NICU)に入っていました。今は退院して元気ですが、出産直後に母親から離れたこともあり、何らかの影響がないか心配です。(女性・60歳)

A 症状が治れば、心配ない

 胎児が子宮内で羊水中に排せつした自分の便(胎便)を肺に吸い込んでから生まれてくる状態が胎便吸引症候群です。分娩(ぶんべん)の約14%に子宮内での胎便排せつが見られます。

 胎便自体は無菌で、吸い込んでも細菌感染は起こしません。ただ場合によって肺炎となり、多呼吸や低酸素状態になることがあります。症状は出産時から数時間後に最も強くなるのが一般的で、出生直後からしばらくの間は呼吸観察が重要です。

 羊水内の排便の原因は解明されていません。ただ中には分娩時に胎児が低酸素血症(血液中の酸素が不足する状態)となり、それに伴うショックで起きることがあります。その場合は保育器で管理することも多く、NICUに入ります。

 治療は呼吸観察、必要があれば酸素投与、さらには人工呼吸管理や低血糖を防ぐための輸液を行い、抗菌剤を投与することもあります。治療が遅れると、肺に血が流れにくくなる肺高血圧が起こり、治療が難しくなることもあります。状態を悪化させないことが重要です。

 母子が離れ、すぐに母乳を与えられないとご心配かもしれませんが、母親は保育器内の子どもに触れたり、母乳を搾乳して与えたりすることもできます。症状が良くなれば、将来の呼吸機能への影響はありません。退院後も一般的な乳児健診を受診するだけで大丈夫です。(慶応大医学部小児科新生児班助教)

画像松崎陽平さん

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