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マンモ検診精度高める 設立20年 名古屋のNPO

(2017年9月12日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

乳がん早期発見へ講習

画像マンモグラフィーの読影試験前に、タブレット画面を使って練習する医師たち=名古屋市東区の東桜会館で

 乳がん検診の質を高めるために活動するNPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構(名古屋市中区)が今年11月、設立から20年となる。全国の医師を対象に、マンモグラフィー検診(マンモ、乳腺エックス線撮影)の画像から異常を見つけて診断する読影の技術を指導する。フィルム画像からモニターによる診断に変わるなど、日々進化する技術や診断にも対応してもらうため、最新の技術も伝えている。(出口有紀)

 「若い人に多い『高濃度乳房』の場合、マンモではがんが見つけにくい。どうすれば、質の高い検査ができるのか」。名古屋市東区の東桜会館で8月下旬にあったマンモグラフィー読影医対象の更新講習会。講師の問い掛けに、参加者が身を乗り出した。マンモでは、乳腺もがんも白く映るため、乳腺の密度が高い高濃度乳房の人の検査は大きな課題となっているからだ。

 フリーアナウンサーの小林麻央さんが乳がんで亡くなったことで若い世代の間で乳がんへの関心が高まり、医療関係者の興味も若い世代の乳がん検査のあり方に向けられた。ただ、方法がないわけではない。「高濃度乳房の人は、マンモだけでなく、超音波検査(エコー)を併用することでがんが見つかりやすくなるといわれている。診断法も進歩しており、紹介していきたい」。機構の理事長で、東名古屋病院(名古屋市名東区)放射線科診療部長の遠藤登喜子さん(68)は話す。

 乳がん検診が日本で始まったのは1987年。当時、国内でマンモは採用されず、医師による視触診の検診だった。97年に機構の前身のマンモグラフィ検診精度管理中央委員会が発足。その後、マンモが導入され、全国の病院への普及と同時に正確に読影できる医療者の育成が進められた。

 その核となる医師や放射線技師らを養成する講習会の準備に奔走した一人が、遠藤さんだ。「知識を蓄積するためには、実際の写真をたくさん見ながら、少人数で意見を交わす講習会が必要」。全国の医療機関から画像を借りて症例ごとに分類し、医師や放射線技師らに向けた教材や、マンモを使って診断できる医療者の認定試験の問題を作成した。

 講習後の認定試験は、百症例を出題。「要精密検査」以上とする症例、「異常なし」「良性」の症例で8割以上、正しい診断をしなければ合格できない。合格率は65%ほどという。「異常のない人を異常と診断してしまうと、必要のない人に精密検査をさせてしまうことになり、検査の信頼性が下がってしまう」

 認定試験に合格した後も、5年に一度、更新講習会を受ける必要があり、2時間で100の症例を見る試験を課している。

 機構設立から間もなく20年。マンモがフィルムからモニターでの診断になり、機械によっては画像の見え方に違いがあるため、一部の講習会や試験でタブレット画面が導入されている。

 この日、初めて更新講習会に参加した長野県の医師は「モニターは普段使っていて問題はなかったが、自分の診断にずれがあるかどうか試験を受けると確認できる。マンモを使った診断に関わる多くの医師に受けてほしい」と話す。遠藤さんは「検診で早期発見し『乳がんでは死なない』ことが、常識になるまで頑張らないと」と力を込める。

 日本乳がん検診精度管理中央機構 日本乳癌(がん)検診学会を中心に、関連学会から成る。機構の前身は、1997年11月に設立されたマンモグラフィ検診精度管理中央委員会。2013年からはエコーの精度を高める取り組みも始め、現在の名称に改めた。17年3月末現在で、読影講習会と試験に参加した医師は1万9188人で、合格者は1万977人。読影に加え、撮影や放射線被ばくの知識なども学ぶ放射線技師の参加者1万9857人中、1万1474人が合格した。

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