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症状ひもとき原因究明 藤田保健衛生大総合アレルギーセンター 矢上晶子さん

医人伝

(2017年9月12日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

藤田保健衛生大総合アレルギーセンター(名古屋市中川区) 副センター長 矢上晶子さん(47)

画像患者の訴えに耳を傾けながら、アレルギーの検査をする矢上晶子さん

 皮膚や呼吸器、目、鼻など複数の部位にアレルギー症状が出て、どの診療科にかかればいいのか分からず困っている患者は少なくない。「一つの臓器を診るだけでは十分な診療ができない」と、大学が7月、第二教育病院の坂文種報徳会病院に「総合アレルギーセンター」を開設。その窓口役を引き受けた。

 長年、アレルギーと付き合ってきた患者は、過去の経過を聞くだけでも大変だが、時間をかけて耳を傾ける。「詳しく状況を知って症状をひもといていくことで、何が原因になっているかを推測できる」。大学の研究施設を使ったアレルゲン(原因物質)の解析も駆使し、皮膚科や眼科、呼吸器内科など、センターに所属する最適な専門医へつないでいる。

 初診時に「片目が見えないんです」と、アレルギーが原因で失明したことを打ち明けた患者がいる。目にかゆみが出て、長年にわたってかいたりたたいたりしたため、視力を失ってしまったという。「そういう人は大抵“どこに行っても良くならない”とあきらめている。ただちに命の危険がある症状ではなくても、放置すると悲惨な結果を招く」と受診を呼び掛ける。

 東京都出身。農学の研究者だった父親の背中を見て育ち、医師を志した。藤田保健衛生大に進学。卒業後は東京へ戻ろうと考えていたが、皮膚科の奥深さを知り、とどまる決断をした。

 研修医時代に手袋など天然ゴム製品に触れることで起こる「ラテックスアレルギー」の患者を多く診てアレルギーに興味を持った。このアレルギーを持つ患者は、バナナやメロンなどの果物を食べてアレルギー反応を起こすことがあり、食物アレルギーの研究に携わった。

 皮膚科医として20年診療に当たってきたが、総合アレルギーセンターができたのを機に、子どもから大人まで、総合的にアレルギーを診ようとの思いを込め「アレルギー医」と名乗ることに。「センターに患者を送ってもらえば、適切な治療の方向性を見つけて、地元で治療を続けてもらう。そんな形で地域の医師と連携したい」と語る。

 院内の女性医師同士のつながりも大切にする。「結婚や出産を機に離職しないためにも、管理職の女性医師を増やすべきだ。自分自身が先駆けになり、研究しながらでも子育てができるよう、若手医師を励ましていきたい」(稲田雅文)

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