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止まらぬ食欲 脳内酵素のせい 肥満の仕組み解明

(2017年9月15日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

基生研、改善薬開発に期待

高脂肪食を16週間与えた後のCT写真

 肥満状態にある人の脳内で酵素分子の働きが摂食行動を抑制できなくしていることを、愛知県岡崎市の自然科学研究機構・基礎生物学研究所の新谷隆史准教授(51)らの研究グループが明らかにした。この酵素分子を抑える薬を開発すれば、肥満の改善につながると期待される。研究成果は14日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。(森田真奈子)

 通常体重の人の摂食行動は、脂肪細胞から放出されるホルモン「レプチン」が脳内の摂食中枢に作用し、食べ過ぎると抑制される。一方、肥満状態の人はレプチンの作用が利きにくくなり、摂食が抑えられない原因とされてきた。

 これまでレプチンの作用が弱まる仕組みは分かっていなかったが、研究グループは脳神経細胞内に存在する酵素分子「PTPRJ」に注目。この酵素分子が持つ脱リン酸化の機能が、レプチンの作用を妨げることを解明した。

 実験で、通常のマウスとPTPRJが欠損したマウスを16週間、主に高脂肪食を与えて飼育したところ、欠損マウスは摂食量が少なく、通常のマウスより体重が約86%、脂肪量が60%に抑えられた。

 また、通常のマウスの脳内のPTPRJの量は実験後に約1.5倍に増えており、肥満に伴い発現量が増えることも判明。肥満の人ほど発現が増え、レプチンの働きを弱めていることを理論づけた。

 新谷准教授は以前の研究で、PTPRJは血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きを抑制していることも発見した。「PTPRJの働きを抑える薬によって肥満だけでなく、糖尿病を防ぐこともできる。10年程度での実用化を目指したい」と話している。

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