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ヘリ救命医療の質追求 富山県立中央病院 松井恒太郎さん

医人伝

(2017年9月26日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

富山県立中央病院(富山市) 救命センター科部長 松井恒太郎さん(45) 

画像ドクターヘリを前に今後の意気込みを語る松井恒太郎さん

 2年前に富山県に配備されたドクターヘリの基地病院、県立中央病院(富山市西長江)に勤務し、今年4月に前部長からバトンを引き継いだ。「出動件数は多くなっているが、雑にならず医療の質を上げていきたい」と後進の育成に励んでいる。

 ヘリには医療機器や医薬品を搭載し、救急救命医療の専門医や看護師が同乗。いち早く医師を現地に派遣し、患者に治療を施すことで救命率の向上が見込まれる。

 県は2015年8月、北陸で初めてヘリを導入。県内全域と岐阜県飛騨地域の一部をカバーする。基地病院から約10分で県内全域に到着できるのが特徴で搬送者は脳卒中や心筋梗塞など病気の人が約6割を占める。

 東京の医大に進学後、「一人の患者を総合的に診ることができる」と救急医療の道を志した。都内や富山の病院に勤務し、災害派遣医療チーム「DMAT(ディーマット)」の所属経験もある。ヘリに搭乗し始めたのは昨年1月。当時は富山大付属病院に勤め、救急医療経験が豊富な応援医師として加わった。

 15年度は1日平均1.3回だった出動件数は、16年度は2.0回、本年度は8月下旬までで2.2回と増加。最高で5回出動したこともあり、現場から直接次の現場に向かうことも珍しくない。向き合うのは命の危機が迫る患者たち。「患者さんを救いたい」。多忙で過酷な現場でも、その信念を持ち続けることが一番大切だと考える。

 医師や看護師、パイロットなど約30人が、ローテーションでその日の担当を決める。普段は1階で救急外来をしているが、要請があれば、すぐに屋上のヘリポートに上がり出動。ヘリは要請から5分以内に離陸する。チームワークを高めるため、無料通話アプリ「LINE」など会員制交流サイト(SNS)で逐一連絡を取り合っている。

 今後も出動の増加が予想されるが、県は救急医療専門医が少ない。県によると、14年現在の県内の救急医療専門医は20人。人口10万あたりでは1.9人で全国平均の2.6人を下回る。「後進の教育が重要になる」。ベテランと組んだ若手に、その背中を見て技術を磨いてほしいと願う。

 「自分のコピーを作ろうとは思っていない。この仕事は技術職で職人的な面もある。後ろ姿から救急医療の心構えを学んでほしい」(酒井翔平)

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