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外国人に医療の安心を

(2017年9月27日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する

日系ブラジル人・島田さん 母国の診療所で研修

画像ブラジルでの医師免許取得も視野に勉学に励む島田さん=大津市の滋賀医科大で

 滋賀医科大学医学部(大津市瀬田月輪町)で学ぶ唯一の日系ブラジル人で、4回生の島田ゆうじさん(22)が今夏、母国の医療現場で自主研修した。日本の医療制度との違いを肌で感じたほか、日本で暮らすブラジル人が、日本の医療に不満を抱く理由が分かったといい、外国人医療に役立てたいと話している。(浅井弘美)

 島田さんは、ブラジル中西部にあるクイアバ市生まれ。1歳半の時、両親と一緒に来日し、長浜市で育った。

 医師を志すようになったのは、県立虎姫高校1年の時。東日本大震災の発生直後、被災者の診療や治療に奔走する医師らを知り、自分の目指すべき道を決めたという。

 進学した滋賀医科大では、4回生になると国内外の医療機関で自主研修を受けることになる。島田さんは海外の医療に興味があったが、母国の医療制度がどうなっているか、医療のレベルはどうなのか、分からなかった。

 県内では、日系ブラジル人が多数居住しており、日本の医療に不安や不満を持つ人が少なくなかった。「自分の目で確かめることで、日本で暮らすブラジル人の医療に生かせるのではないか」と、同大では初めてブラジルで自主研修することになった。

 母国で医師として働く伯母に相談したところ、クイアバ市にあるマトグロッソ連邦大の紹介を受け、8月17日〜9月21日の約1カ月間研修を実施。うち3週間は、現地の医大生2人と共に地域の診療所で患者の対応に当たった。

 診療所は完全予約制だが、予約者が多く、椎間板ヘルニアの患者の手術が1年待ちなど、なかなか治療を受けられない現状も目の当たりに。医療の質では日本の方が勝っているように見えたものの、現地は公立病院や診療所の医療費は無料のため、高額な医療費が日本で暮らすブラジル人の不満を買っている要因だと分かった。

 また、現地では医師が患者に陽気に接していたが、日本では言葉が通じないことから、医師の対応が冷たいと思われることも。文化や慣習の違い、コミュニケーション不足が、日本の医療への不信につながっていることも感じた。

 研修を通じて、島田さんは「日本語も母語のポルトガル語も両方話せる自分なら、日本で暮らすブラジル人の力になれるのではないか」と話し、忘れかけた母語を学び直したいと思っている。

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