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〈生活部記者の両親ダブル介護〉(26) 「です・ます」の効果

(2017年9月27日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

近き存在ゆえに「少し楽」

画像「お母さん、ピースしてください」に、81歳の母はこう応じてくれました

 連載の途中で恐縮だが、複数の読者から問い合わせを頂いているので、説明を要すると考える。それは「三浦記者は親と話す時も『です・ます』調なのか」という疑問だ。

 その通り。主に「です・ます」で話している。もう長い。そのように話すよう努め始めたのは、中学生になる前後だったか。両親とも要介護となった今では、すっかり定着している。

 理由は、「です・ます」の方が心理的に距離が置けて、一歩引いた冷静さを保てるからだ。特に介護はイライラすることばかり。正直、父や母に怒鳴ったことも、怒鳴られたこともある。でも、怒鳴ってもいいことなど何一つない。怒鳴った方も怒鳴られた側も惨めなだけだ。そんな時は、せめて言葉だけでも丁寧にすると、感情的になる心を、ある程度は抑えられる。

 切っても切れないのが家族。「こだわり」みたいなものがある。だからこそ愛情も育まれるが、それゆえに感情的に対立し、ののしり合う家族もある。プラスの感情は心を満たすが、マイナスの感情は心を疲弊させる。子どもながら父母の仲裁に入る中で、十歳を数年超した少年は発見したのだ。「『お父さん、やめて!』と言うより、『お父さん、やめてください』と言う方が少し楽やな」と。

 適度な距離を置く。他人行儀に聞こえるが、家族はその近さゆえに傷つくこともある。逆に言えば、家族はためらっても、他人だからこそ踏み込める領域がある。介護には家族以外の第三者が介入することが大事な理由だ。そのためにも介護保険制度はあると思っている。(三浦耕喜)

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