つなごう医療 中日メディカルサイト

ゲノム編集 ドーピング指定 来年から、検査法が課題

(2017年10月6日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

 世界反ドーピング機関(WADA)がまとめた2018年のドーピングに関する禁止薬物リストに、遺伝子を自由に改変できるゲノム編集技術を使った遺伝子ドーピングが新たに加えられたことが分かった。リストは来年1月1日から有効となる。

 ゲノム編集は、狙った遺伝子を効率良く改変でき、病気の治療や食物の品種改良への応用が期待される新技術。生命科学研究の世界では「ノーベル賞級」と評価され、急激に広がっている。報告例はないが、筋力増強など運動能力の向上にも活用できるとされ、ドーピング目的での使用が懸念されていた。20年の東京五輪・パラリンピックを前に、検査法の開発などが課題となりそうだ。

 WADAは外部からDNAや、遺伝子を改変した細胞を体内に入れて運動能力の向上を図る行為を「遺伝子ドーピング」として以前から禁止している。ゲノム編集を使えば、より簡単かつ巧妙にドーピングできる恐れがあることから、リストに明記して禁止することにした。

 ゲノム編集を引き起こす薬を使うなどして筋力や持久力を増強できる可能性がある。また受精卵でゲノム編集をすれば、生まれつき運動能力を高くした「デザイナーベビー」を得ることも不可能ではない。

 自然に起きる突然変異と見分けが付きにくいため、検査で発見が難しく「いずれドーピングに使われる恐れがある」と指摘されていた。

 ゲノム編集 生物の遺伝子を狙い通りに改変できる技術。近年「クリスパー・キャス9」という手法が開発され、使いやすさから家畜や植物の品種改良目的で爆発的に普及した。細胞内で特定の遺伝子を切断する酵素を道具として使い、遺伝子を壊したり、別の遺伝子を挿入したりすることができる。医療への応用も模索され、海外では白血病やエイズを治療する試みが始まっている。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人