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【長野】町長選告示 辰野の課題は 町立病院 続く医師不足 

(2017年10月13日) 【中日新聞】【朝刊】【長野】 この記事を印刷する
画像医師不足が続いている町立辰野病院=辰野町で

 辰野町長選の告示が17日に迫った。いずれも新人で元県職員の小沢洋一氏(68)=小野=と、元副町長の武居保男氏(59)=伊那富=の一騎打ちとなる公算が大きくなっている。医師不足が続く町立辰野病院、空き店舗が目立つ中心商店街など町が抱える課題を探る。(岩田忠士)

 「常勤医は6人。手を尽くしているが、医師を確保できない」。同院の今福孝枝事務長は頭を抱える。定年退職した前院長(70)が今も現役同様に働き、実質的に7人態勢を保っているのが現状だ。

 2004年度に新臨床研修制度が始まり、新人医師は大病院や都市に流出。信州大から派遣を受けていた同院でも、15人ほどいた常勤医が半減した。伊那中央病院(伊那市)と連携して上伊那地域に医師を招致しようと信大に働き掛けているほか、人材バンクも活用しているが、確保には結び付いていない。

 医師不足を受け、外来患者も減少が続く。2016年度は約6万4千人。この3年で約7千人減った。「せめて高齢者の需要が高い整形外科に常勤医がいれば、事態は大きく変わるのに」と今福事務長は唇をかむ。

 町の一般会計からの繰入金は約5億円(同年度)で、財政的な負担も大きい。同院が今春策定した「町立辰野病院改革プラン」では「町単独で病院を経営するのは厳しい」と言及。今後は指定管理者制度なども視野に入れて「他の経営形態も検討する必要がある」としている。

 耳鼻咽喉科に訪れた町内の男性(80)は「辰野には開業医が少ないので、辰野病院がなくちゃ困る」と話す。町民のかかりつけ医の役割も担う同院を、安定して存続させる道筋を探ることが急務だ。

 シャッターを閉じた店が目立つJR辰野駅前の商店街。衣料品店を営む男性(93)は「お客はみんな大型店に行っちゃう。何とか店を続けているが、張り合いがない」と漏らす。かつて100軒以上あった商店は、今は30軒ほどが空き店舗とされる。店は閉じて住居として暮らす人も多い。

 町は15年度以降、空き店舗の活用を促そうと、改修費や賃借料の補助制度を開始。現在までに新たに3軒の飲食店が開業した。また、空き店舗の中を見て歩く見学会も今年から始まり、過去4回には名古屋市や横浜市など県内外から毎回10人ほどが訪れた。

 「空き店舗に明かりがつくのはうれしい。既存店も営業努力をするが、町も消費喚起や駐車場整備などで支えてほしい」と別の男性店主(73)は注文した。

 教育や環境面の課題もある。全校児童13人の川島小学校は、町教育委員会が統廃合の検討を始める見通しになっている。町立小学校の適正配置を考えることは将来的には不可欠だが、同校は町内全域から通える「小規模特認校」で、少人数教育を受けたいと通学中の児童もおり、難しい判断が迫られる。

 湖周行政事務組合(岡谷市、諏訪市、下諏訪町)が諏訪市湖南板沢区に計画するごみ最終処分場建設では、下流域に当たる辰野町民らが反対運動を展開。町は反対住民に歩調を合わせる姿勢を示しており、事態がどう決着するか注目が集まっている。

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