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「スマホ老眼」 若者に急増

(2017年10月17日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

目の酷使で調節機能低下

目のピント調節のしくみ

 まだ20代、30代なのに「手元が見づらい」「ぼやける」といった老眼のような症状を訴える人が増えている。スマートフォンを長時間使うなどして目を酷使することにより、一時的に目のピント調節機能が衰える「スマホ老眼」と呼ばれる症状だ。専門家は「重症化すると日常生活に支障を来す恐れがある。早めにケアを」と呼び掛けている。 (小中寿美)

 「目がしょぼしょぼして開けていられない」。神奈川県内に住むフリーターの女性(22)は8月、つらい症状に悩まされて眼科に駆け込み、スマホ老眼と指摘された。アルバイト先の飲食店では注文の入力や食材の発注でタブレット端末を頻繁に使う。さらに就職活動を始め、求人情報を探すためにスマホを毎日3時間近く見ていた。

 遠くを見るとぼやけたままで焦点が合わず、目の奥に痛みを感じ、頭痛や肩凝りも。処方された目薬を使い、スマホを見る時間をなるべく減らすと、症状は改善して楽になった。

 眼精疲労が専門の梶田眼科(東京)の梶田雅義院長(64)によると、スマホ老眼は医学的には「調節緊張」と呼ばれ、遠くがぼやけるだけでなく、手元が見づらくなることもある。スマホの普及に伴い、2010年ごろから20代を中心に患者が増え、中には10代もいる。

 ピント調節がスムーズにできなくなる状態は老眼とよく似ているが、原因は異なる。そもそもピント調節はどう行うのか。カメラのレンズのような働きをする「水晶体」の厚さを、周りの筋肉の「毛様体筋」を動かして変える。近くを見る時は、毛様体筋に力を入れて水晶体を膨らませる。

スマホ老眼への対処法

 加齢とともに水晶体が硬くなったり、毛様体筋が衰えたりして起きるのが老眼で、一般的に40代以降に始まる。スマホ老眼は、水晶体は軟らかいままだが、目の酷使によって毛様体筋が凝り固まることで起こるという。

 「患者の多いドライアイも実はスマホ老眼が原因のケースが多い」と梶田院長。放置すれば「めまいや吐き気、重症になると自律神経に影響を与え、不眠やうつにつながる可能性もある」と話す。

 調節緊張の患者はパソコンが普及した際にも増えたが「スマホの方が事態は深刻。文字が小さく、近い距離で見るため目にかかる負担は大きい」と指摘する。混雑した電車内では、顔のすぐ近くで画面を凝視している人も少なくない。

 すぐにできる対策は、定期的に目を休めて遠くを見ること。目安は10分に1回で、4〜5メートル先を見る。目を温めて血行を良くし、毛様体筋の緊張をほぐすことも有効だ。温めるのは就寝前がよいという。

遠く見て休めて

 目の健康維持に関する啓発などに力を入れる眼鏡小売りの大手メガネスーパー(神奈川県小田原市)は、スマホ老眼かどうかなど目の状態を詳しく調べる検査メニューを開発し、昨年秋から全店舗で行っている。

 眼鏡を購入する際、客は問診票を記入。その結果、スマホ老眼が疑われる場合は専用の検査を行い、目の緊張をほぐす運動の方法も指導する。スマホ老眼とみられる客は全店舗合わせて月3千人に上り、症状が著しいときは眼科の受診を勧めている。

 検査の研修を担当する同社の堀川義晴さん(46)は「スマホの普及が影響している」と推測。「休憩時間に遠くを見るよう以前からアドバイスしてきたが、今はその時間にスマホを見ている」と嘆く。目を休める意識を持つことが大切だ。

 検査は有料。運動の方法などスマホ老眼対策は同社ホームページの「アイケアコンテンツ」で見られる。

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