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隠れた児童虐待に目を

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(2017年10月31日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

 私のクリニックの思春期相談で、よく話題になるのは児童虐待です。厚生労働省の2015年度の調査では、虐待で亡くなった子どもは、無理心中を除くと年間で52人。週に1人が虐待で亡くなっている計算です。児童相談所に寄せられる相談対応件数は年々増えており、15年度で10万件超です。

 しかし、これは氷山の一角。実際には、身のまわりで、虐待死につながりかねない状況が発生しています。殴る、蹴るなどの身体的な虐待や性的虐待のほかに、子どもの前で、他の家族へ暴力をふるう行為などの心理的な虐待もあります。子どもを家に閉じ込める、不潔なままにするなどは、ネグレクトと呼ばれ、表面化しにくいのが特徴です。

 虐待を受けた子どもたちの脳はダメージをうけ、後遺症として、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状や問題行動を起こし、社会で生きづらくなります。そして、彼らが親となった時、今度は虐待する側になることもあり、世代間の負の連鎖になるのです。

 大人の皆さんには、周りの子どもたちに、少しだけおせっかいな人になってほしいです。地域や社会全体で、子どもたちを育てていく気持ちを持ちましょう。何かあれば児童相談所全国共通ダイヤル=電189=にかけてください。次回も子どもたちが直面する問題を紹介します。(産婦人科医 伊藤加奈子)

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