つなごう医療 中日メディカルサイト

骨髄ドナー 支援もっと 故名古屋市議の志 各地で実る

(2017年11月3日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像日比健太郎さん

 急性白血病の闘病の末、昨年急逝した元名古屋市議の日比健太郎さん=当時(35)=が政策提言した骨髄移植のドナー(提供者)助成制度について、遺志を継いだ全国の地方議員が一斉提案したことなどから、導入した市区町村が過去10カ月間に全国で192から311に増加した。3日の1周忌を前にした2日、この活動にマニフェスト大賞の最優秀政策提言賞が贈られ、妻で名古屋市議の美咲さん(32)は「健太郎さんもきっと喜んでくれる」と涙ながらに喜んだ。(坂田奈央、安田功)

 健太郎さんは市議だった2016年5月に急性白血病と診断された。白血病の有効な治療法である骨髄移植を目指し、白血球の型が適合するドナーが4人見つかったが移植の同意が得られず、現職のまま亡くなった。

 美咲さんらによると、同意を得られなかった大きな理由は「骨髄移植の準備の都合がつかない」だった。ドナー候補に選ばれると、検査や骨髄液採取のため、一般的に3泊4日の入院が必要で、仕事を持つドナーが提供を断念するケースが多いという。

 健太郎さんはこの状況を改善しようと、抗がん剤治療の副作用に苦しみながらも美咲さんと二人三脚で、ドナー候補になった人に休業補償する助成制度の導入や、若者を中心に新規の骨髄移植ドナー登録を増やすための普及啓発活動など5項目の政策提言をまとめた。

 手術前には本紙の取材に「ドナー確保に手間取った経験を生かし、病気で苦しむ人を助ける環境整備に役立ちたい」と意気込みを語っていた。亡くなる直前にはベッドの上で、思いを訴えるビデオメッセージも撮影した。

画像夫の故日比健太郎さんが提言し、最優秀政策提言賞を受賞した美咲さん=2日、東京都港区で

 昨年10月、ビデオメッセージを見た民進党の若手地方議員の組織「全国青年委員会」のメンバーが立ち上がった。「『骨髄ドナー登録推進プラン』〜ヒビケンの遺志を受け継いで〜」と名付け、地方議会でドナー支援の意見書可決を目指した結果、ドナー助成制度の導入自治体が急増した。

 美咲さんは、2日に東京都内で行われた授賞式に出席。「受賞で、夫の思いや遺志が生き続けているんだと思った」と喜び、「白血球の型が適合するドナーから移植の同意が得られれば、生きられるかもしれないという希望が持てる。患者にとって、とても大きい」と、全国に広げるため取り組んでいく決意を述べた。

 同じ会派の同期生だった名古屋市議の小川俊之さん(41)は「1周忌を前にした受賞に巡り合わせを感じる。彼も天国で喜んでいるのではないかな」と話した。

マニフェスト大賞

 早稲田大マニフェスト研究所顧問の北川正恭・元三重県知事らが提唱し、2006年に設けられた。政策を重視し、実践している自治体の首長や議会、民間団体を支援するため、地方議員らが実行委をつくり主催。7部門ごとの最優秀賞と、その中から選ばれる最高賞のグランプリなどがある。今年は過去最高の2597件の応募があった。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人