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65歳以上の障害者医療費助成 還付申請 県内なぜ必要

(2017年11月5日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像市民に署名を呼び掛ける石川県社会保障推進協議会の職員ら=9月18日、金沢市武蔵町で

 石川県内に住む障害者の医療費は、県と市町が全額を助成している。64歳までは医療機関での窓口支払いは不要。だが、65歳以上はいったん支払い、申請して還付を受けなければならない。体の不自由な高齢者に手間を強いる形だが、このやり方を変えると、県への国の補助金が減らされる。どういうことなのか−。(中平雄大)

 「石川県は高齢の障害者に冷たい」。20年以上関節リウマチを患う高谷正子さん(67)=金沢市=は、月に約5万円の医療費を支払う。年金の4割近い。還付は3カ月後で、「大病を患ったら、一時的とはいえ支払えない」と心配する。

 金沢、小松、輪島の3市は8月末、県に対し、65歳以上も医療費を窓口で支払わなくて済むように、制度の変更を求めた。県社会保障推進協議会などは今月中旬、谷本正憲知事に約4千人分の署名を提出する予定だ。協議会の寺越博之事務局長は「法の縛りはなく、県がその気になればできる」と話す。

 だが、なぜ、県に訴えるのか。石川県では、県と市町が重度の1、2級の障害者の医療費を半分ずつ負担し、3級は市町の全額負担。市町が独自の判断で支給方法を変更すれば、よいはずだ。

 実は、市町が還付手続きをやめた場合、県は半分の負担をやめる。市町としては全額負担になるため、財政状況を考えれば簡単には制度を変えられない。

 県の冷たい対応にも理由がある。還付手続きをやめると、国から県への国民健康保険の補助金が減らされてしまうからだ。厚生労働省国民健康保険課によると、政府の考え方はこうだ。一時的に医療費を支払うことで、高齢の障害者が不要な受診をしなくなる。医療費の抑制が、念頭にある。

 実際、千葉県は2015年度から、還付手続きを不要にし、前年度比で国の補助金を5億8千万円減らされた。一方で、障害者の医療費は約11億6千万円増えた。その点では、国の懸念通りになったわけだ。

 だが、NPO法人日本障害者センター(東京都)の家平(いえひら)悟事務局長は「支払いが負担で、我慢して病院に行かない人がいたからだ」と反論する。むしろ、「早く診療を受けた方が、重度化を防ぐことになる」。

21都道府県は 手続きが不要

 日本障害者センターによると、少なくとも21都道府県は、還付の手続きを不要にしている。一方で、18県が、年齢にかかわらず還付手続きをしなければならない。65歳で区切っている石川県はその中間に当たる。

 富山県でも、1、2級の障害者は65歳以上になると、還付手続きに切り替わる。ただし、3〜5級の人は65歳以上も窓口で支払う必要はない。

 家平事務局長は、どこの都道府県でも、年齢にかかわらず障害者は窓口で医療費を支払わなくても済むように、国が制度を整えるべきだと訴える。

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