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血液がん 狙い撃ち死滅 阪大、マウスで成功 免疫療法 19年度治験目指す

(2017年11月7日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
骨髄腫細胞死滅のマウス実験イメージ

 血液のがんの一種「多発性骨髄腫」の細胞だけを攻撃し、大半を死滅させることにマウスを使った実験で成功したと、大阪大の保仙直毅准教授(腫瘍免疫学)のチームが6日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。

 骨髄腫細胞の表面で異常に増加しているタンパク質を標的に攻撃する免疫細胞を、遺伝子操作を利用して体外で作製し、増やしてから体内に戻す免疫療法「CAR−T細胞療法」として実用化する計画。医師が主体となって進める治験の2019年度開始を目指す。

 チームは、血液細胞の一種ががん化した骨髄腫の細胞表面で、細胞同士の接着に必要なインテグリンベータ7というタンパク質が異常に増えていることに注目。インテグリンベータ7に結合し、骨髄腫細胞だけを攻撃する抗体を見つけようと考えた。

 インテグリンベータ7は正常な血液細胞の表面にもあるため、骨髄腫細胞にだけ結合する抗体が必要だったが、チームはこうした働きを持つMMG49という抗体を発見。骨髄腫のインテグリンベータ7は構造が変化しているため、MMG49が特異的に結合することも突き止めた。

 免疫細胞のT細胞を遺伝子操作して、MMG49の結合部分の特徴を持ったCAR−T細胞を作製して大量に増やした後、骨髄腫のマウスに投与すると、骨髄腫細胞に結合して攻撃し、大半を死滅させた。約2カ月観察すると、投与した骨髄腫のマウスは16匹中12匹が生き残ったが、投与しなかったマウスは全16匹が死んだ。

 保仙准教授は「作用の仕方が全く異なる、日本発の治療法として開発を進めたい」と話した。

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