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〈生活部記者の両親ダブル介護〉(29) あごが外れ、誤嚥に

(2017年11月8日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

手術か否か 悩む家族

画像手術の説明を聞く父。同意はしましたが、いくつか質問しようとするとすぐむせます。両手を枕にして何か考えている様子です

 衰えていくほどに、年寄りの生殺与奪の権は事実上、家族が握るようになる。父(80)と母(81)の場合、握るのは自分だ。「どうなさいます?」。丁寧な説明の後で問う医師を前に、あらためてそう思う。

 入院治療後、父の肺炎は劇的に良くなった。次は肺炎を起こす誤嚥(ごえん)の原因を明らかにせねばならない。週末、医師に呼ばれた。診察室に入ると、モニターに父のあごの骨格が立体画像となって示されている。今の画像技術は大したものだと感心していると、医師は角度を変えながら、下あごのつけ根に矢印を置いた。「お父さま、下あごが外れていますね」

 「顎(がく)関節脱臼」なのだそうだ。あごの筋肉がやせるなどで起きる。痛みもなく、本人も気付かない。だが、外れたあごでは、かむのものみ込むのもうまくいかず、誤嚥を起こす。話も何を言っているか分からない。確かに父もそうだ。

 関節を治すのは難しい手術ではない。だが、全身麻酔の手術だからリスクはある。第2案としてあごをサポーターで支える案も示されたが、効果は限定的。誤嚥、肺炎を繰り返し、体力を落としていくだろう。

 同席した妻と話して答えた。「家族としては、手術でお願いします。父にそう説明します」と。父にはまだまだ食べてほしいどら焼きがある。「おふくろとのなれそめとか、聞きたいこともいっぱいあるし」。父は両手を枕にして、私の説明を聞いていた。

 11日には本社主催の介護セミナーで体験談を報告する。手術はまだ先だが、必ずいい報告をするんだ!と思っている。(三浦耕喜)

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