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〈味な提言〉(5) うま味成分 伝統の味 和食の原点

(2017年11月12日) 【中日新聞】【朝刊】【愛知】 この記事を印刷する

愛知学泉大家政学部准教授・管理栄養士 岡本康子さん

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 読者の皆さま、お元気でしょうか? 私の大学では課外授業があり、先週日曜日は、豊田市旭地区の小渡小学校へ学生とともに、減災ボランティア活動にでかけました。そこで特産物のジネンジョを見つけました。旭地区は、古くからジネンジョの栽培に取り組み、現在、37戸の農家が、年間およそ3トンを出荷する県内有数の産地なんですね。

 静岡では丸子のとろろ汁が有名です。子どものころ、わが家では秋から冬の季節、父がジネンジョをすり鉢ですり、母が魚の身(ギンダラやマダラ、サバでもよい)と昆布でだしを取ったみそ味のだし汁をつくり、魚の身はいっしょに加え、共同作業ですりおろしたジネンジョをのばしていきます。あとは熱々ごはん(麦と白米)に、海苔(のり)やネギをかけて頂いておりました。

 口の中に広がるみそ風味のとろろ汁は風味も良く、体中を温めてくれます。時々懐かしく思い作ります。ジネンジョは古くから漢方薬としても用いられ、滋養強壮をはじめ疲労回復、虚弱体質の改善や食欲増進、免疫力を高め、かぜ予防などに優れた効果があるようです。

 さて、本日はうま味成分に焦点を当てます。うま味成分は昆布のL−グルタミン酸、かつお節の5’−イノシン酸、シイタケの5’−グアニル酸で日本人によって発見された日本の伝統の味でナトリウム塩の形でうま味を発揮するといわれています。ほかに玉露茶に含まれるアミノ酸のL−テアニン、貝類や日本酒に含まれるコハク酸ナトリウム塩などがあります。

 日本の十大発明の一つといわれるこのうま味成分、L−グルタミン酸ナトリウムは池田菊苗先生(東京帝国大)が昆布から抽出したことで知られています。現在、味の素などの商品名で一般家庭に普及しています。かつお節、シイタケのうま味成分は国中明先生(ヤマサ研究所)がかつお節のうま味成分がイノシン酸の中の5’−イノシン酸であること、5’−グアニル酸がシイタケのうま味成分であることを発見しました。

 この昆布のL−グルタミン酸、かつお節の5’−イノシン酸、シイタケの5’−グアニル酸3つが合わさると驚異的にうま味が増幅します。この味の相互作用については次回書きます。

 うま味は今、高齢者の健康やがん患者の化学療法後の食事など臨床的な分野へ応用が広がっています。2013年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録された和食の原点にもなっているのでしょうね。

 本日の一品は手軽に作れるスムージーです。ではまた来週、お元気で。

本日の一品

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【リンゴと豆乳のスムージー】

<材料 1〜2人分>

リンゴ100グラム(王林)、水50ミリリットル、キャベツ20グラム、国産大豆調整豆乳50ミリリットル

リンゴは芯と種を取り除き、皮ごと一口サイズに切る。キャベツは粗いみじん切り。水と材料をミキサーに入れて、滑らかになるまで混ぜる。豆乳を入れてさらに混ぜる。

<栄養量>

54キロカロリー、タンパク質2.3グラム、脂質1.6グラム、マグネシウム15ミリグラム、カルシウム24ミリグラム、カリウム235ミリグラム、ビタミンE3ミリグラム

<ポイント>

ビタミンE(脂質の酸化を防ぐ働き、アンチエイジング)が1日の半分取れる(目安量6ミリグラム/日)、王林リンゴ(黄緑色をした色味で甘く香りが良い)

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