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<いきいき健康脳> 脳の加齢

(2017年11月15日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

20代ピークに機能低下

 皆さん、こんにちは。前回までは子どもたちの脳の発達のお話をしましたが、今回は大人の脳がどのように加齢していくかを語っていきたいと思います。

 脳の加齢は何歳ぐらいに始まると思いますか?50歳とか60歳とか、あるいはもっと後に始まると考えているかもしれませんね。実は20代に既に始まることが分かっています。

 脳の中で起きている加齢の変化は、神経細胞が小さくなる→死んでしまう→つながっているネットワークが切れてなくなる−という過程を経て、結果的に脳は萎縮するのです。さらに、アルツハイマー病などいくつかの病気では、異常なタンパク質のごみがたまることで、萎縮が加速されることも判明しています。

 皆さんの中には、人の名前をすぐに忘れてしまう、財布をどこにしまったか覚えていないなど、物忘れの頻度が高くなったと心配している人もいるでしょう。

 これは必ずしも認知症に直結するものではないことが多いのです。というのは、加齢とともに脳内の神経細胞やネットワークが減少するため、健康であってもいろいろな認知機能が低下するからです。

 いくつかの研究では、ヒトの高次認知機能、「判断する」「考える」「創造する」「記憶する」などの機能は、20代がピークで、その後はひたすら低下するという報告もあります。

 脳の加齢変化の始まりと一致していますね。そのため、ある程度の物忘れなどの認知機能の低下は、加齢に伴う通常の変化であることが多いのです。

 一方で、認知症のごく初期の症状との区別が大変難しいことも事実です。心配な方は、老年内科や物忘れ外来などの専門科を受診されることをお勧めします。(東北大加齢医学研究所教授・滝靖之)

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