つなごう医療 中日メディカルサイト

スパイクシューズ 足に負担かけ負傷も

(2017年11月21日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

成長期の着用気をつけて 爪先に余裕を 使用は短時間

シューズの選び方・使い方

 野球やサッカー、陸上などさまざまな競技で使われるスパイクシューズ。底面に付いた金属などの突起で地面を捉えやすい機能があるが、足への負担は大きく、成長期の子どもにとっては逆に足を傷める原因になることも。シューズ選びと日ごろの履き方には注意が必要だ。(小中寿美)

 中学校でソフトボール部に入った愛知県の女子生徒(13)は、部活動でスパイクを履くようになってから足の爪が黒くなったり、割れたりし、きれいに伸びなくなった。2年に進級するのを機に1センチ大きいサイズに買い替えると爪は改善したが、その後も足の甲には痛みを感じている。「スパイクを履かないわけにはいかず、足を守る方法を知りたい」と母親(43)は訴える。

 足の疾患に詳しい塩之谷整形外科(同県豊橋市)の塩之谷香副院長(57)は「靴の先端に足の指が当たることが爪が傷んだ直接の原因。そのまま運動を続けると爪の下に出血を起こし、ひどいと爪が剥がれることもある」と説明する。

 競技によっては、指導者やスポーツ用品店が足にぴったりのサイズを勧めることもあるというが、「けがを防ぐには、最低1センチは爪先に余裕を持たせて」と塩之谷さん。特に成長期は急に足が大きくなることがあるため「年度や学期の変わり目など定期的にチェックを」と念を押す。

 一方、プロのスポーツ選手の相談にも応じている靴専門店「フットマインド」(名古屋市中区)の栗林薫社長(55)は、女子生徒の場合は「スパイクが不調を引き起こした可能性がある」と指摘する。

 素材が皮革のスパイクはスニーカーと比べて硬いうえに滑りにくいため、ストップ運動を繰り返した際などに、足にかかる負担が他のシューズに比べて大きいからだ。靴底に突起があり、圧力が分散せず点でかかるため、けがを引き起こすこともある。塩之谷さんの整形外科を訪れる患者の中には、スパイクの金具が足裏の親指の付け根を圧迫し、骨にひびが入ったサッカー部の高校生もいた。

画像足の骨にひびが入った高校生のスパイク。サイズに問題はなかったがインソールがすり減り、突起物のある所に負担がかかったことが見て取れる(塩之谷整形外科提供)

 ソフトボール部の女子生徒はランニングを含め、練習の間はずっとスパイクを履いていた。塩之谷さんは「負担が大きいため、スパイクを履く練習は短時間にとどめ、トレーニングシューズなどと履き分けた方がいい」と話す。

 サイズだけでなく、幅や甲の高さなど足の形がスパイクに合わないことも痛みの原因になる。形はメーカーごとに特徴があるため履き比べるとよいが「スパイクは選択肢が少ない上にチームで指定されていることもある。合わないときは指導者に相談してほしい」。

 履き方にもポイントがある。サイズに余裕がある靴を選んでも、ひもやベルトを緩めずそのまま履くと、足が前に滑り、結局は指が当たってしまう。ひもやベルトは靴を脱ぐ時に緩め、履く時に固定する。足を入れた際にかかとをトントンと地面に当て、靴のかかと側に足を寄せてから固定するとよい。この履き方はスニーカーなどスパイク以外の靴にも当てはまる。「ねんざなどのけがを予防し、走る、跳ぶなどの動きもしやすくなる」という。

 塩之谷さんは、栗林さんや義肢装具士の協力を得て診断に加え、靴選びや中敷きなどの加工をする「靴外来」を20年前から開いているが、スパイクを含め、靴の適切な選び方や履き方は定着していないと感じている。栗林さんによると、特にサッカーはボールを足で操るため足に合わせた小さめのサイズを履くケースが目立ち、足の変形を抱える選手は多いという。

 「スポーツ指導者や最初に靴の履き方を教える保育士さんにまずは知ってほしい」と塩之谷さん。栗林さんは「成長期の子どもは大人とは違う。能力の向上を求めるより、足が健康に育つことを優先してほしい」と話している。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人