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〈生活部記者の両親ダブル介護〉(30) 施設入所の道

(2017年11月22日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

離れて思う愛情も

画像おかあさん。おかあさんは今、幸せですか

 本当にこれでよかったのか。そう自問することがある。間近に迫った父(80)のあごの手術もそうだし、遠距離介護でも近距離介護でも父母の老老介護を支えられなかったことで施設入所を選択したこともだ。「親を施設に入れるとは親不孝な」と言われると身に染みる。だが、自分としては、悲鳴と混乱の中で、今この場をいかに家族の皆が生き抜くかを考え、もがいた末にここに至った。

 そのおかげで私は介護離職を免れた。妻や弟とも押しつけ合う懸案もない。だが、その結果、私は父と母(81)とを引き離した。今夜も父母はベッドで孤独を抱え薄暗い天井を見つめているのだろう。週に数回訪ねたところで癒やされるわけがない。

 でも、と思う。もしあのまま夫婦で、そして親子でののしりあう中で在宅介護を続けていたら、父母は滅々と人生の最後を迎えていただろう。別の屋根の下で暮らす今、ようやく夫婦は手を取り合うようになった。

 「ふるさとは遠きにありて思ふもの」と詠んだのは室生犀星か。夫婦もそうかもしれない。遠きにありて思ふもの。そして悲しくうたふもの。自己弁護は承知だが、離れることで気付く愛情だってあるのだ。たぶん。

 その「介護すごろく」の本格スタートとなった地域包括支援センターの動きは、思いのほか俊敏だった。東京から相談の電話を入れた3日後には、「息子さんからの連絡で」ということで、女性のケアマネジャーさんが実家を訪問してくれていた。のらりくらりのお役所仕事ばかりを見てきた身には新鮮だった。希望が少しわいてきた。(三浦耕喜)

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