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〈味な提言〉(7) 食品の色成分(色素) 熱や酸で異なる性質

(2017年11月26日) 【中日新聞】【朝刊】【愛知】 この記事を印刷する

愛知学泉大家政学部准教授・管理栄養士 岡本康子さん

岡本康子さん

 読者の皆さまお元気でいらっしゃいましたか。急に寒くなりましたね。

 本日は、食品の色成分(色素)について話を進めます。自然の光は380〜760ナノメートル付近のすべての波長の可視光線を含んでいます。例えばトマトは赤色に見えますね。これはトマトに含まれているリコピンという成分が自然光の中の380〜550ナノメートルの波長の光を吸収し、550〜760ナノメートルの黄−赤色の光を反射し、この反射光を私たちは赤色として認識します。このような働きのある成分を色素といいます。

 食品に含まれる色素は、ポルフィリン系色素のクロロフィルとヘム色素、カロテノイド系色素、フラボノイド系色素に大別されます。

 クロロフィルは酸に不安定で黄褐色のフェオフィチンとなってしまいます。キュウリの酢の物を放置した場合、変色した経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。

 また、食肉やマグロなどの赤身魚の肉の色はヘム色素の一種のミオグロビンに由来します。カロテノイドは黄、だいだい、赤色を呈する脂溶性の色素でカロテン類(α、β、γカロテン、リコピン)とキサントフィル類(ミカンに含まれる黄だいだい色のクリプトキサンチン、ルテイン、サケやマスの色のアスタキサンチン、またカニやエビが加熱された時の赤色のアスタシンなど)に大別されます。カロテノイドは熱や酸、アルカリに対しては安定していますが、酸素と光には比較的不安定です。赤、黄、だいだいのパプリカはカロテノイド色素です。

 フラボノイドは熱、酸に安定しています。野菜や果実に含まれる赤−紫色の色調の水溶性のアントシアニンもフラボノイドに属します。黒米、紫サツマイモ、紫トウモロコシ、赤キャベツ、赤玉ネギ、シソ、イチゴ、ベリー類なども同様です。

 これまでお話ししてきた食品に含まれる香り、味、色成分は二次機能だけでなく、生体調節機能を持つ三次機能成分でもあり、注目されています。来週は野菜の持つ色の機能性(フィトケミカル)について話す予定です。

 インフルエンザの季節が近づいてきましたね。ワクチン接種による重症化予防が重要です。また体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスある栄養を取り、帰宅後の手洗い、うがいを習慣化しましょう。

 本日の一品はカロテノイド色素を含むパプリカと季節の果物、柿の酢の物です。ぜひ、お試しを。

本日の一品

5色酢あえ

【5色酢あえ】

<材料>

大根30グラム、柿30グラム、ピーマン赤・黄(パプリカ)各10グラム、スダチ少々、やさしい酢60cc、砂糖5グラム

<作り方>

大根、パプリカは千切り。柿も千切り。やさしい酢に砂糖をまぜスダチを搾り、野菜をつけておく。食べる時に盛り付ける。

<栄養量 1人分>

エネルギー63キロカロリー、タンパク質0.48グラム、脂質0.13グラム、ビタミンC56ミリグラム(1日推奨量100ミリグラム)、βカロテン158マイクログラム、β−クリプトキサンチン175マイクログラム

 柿はβカロテンをはじめβ−クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、リコピンなどのカロテノイド、ビタミンCを多く含む。黄ピーマンは、緑ピーマンを成熟させたもの。赤ピーマンは黄ピーマンをさらに成熟させ完熟させたもの。どちらもパプリカと呼ばれる。軟らかくて甘みが強く、ビタミンを多く含む。

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