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病院外からがん患者支援 広がれ 元ちゃんの遺志 金沢の「ハウス」1周年 妻・詠子さん、前向く

(2017年12月2日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像西村元一さん

 病院外で、がん患者や家族が思いを語り合える施設「元ちゃんハウス」(金沢市石引)を、NPO法人「がんとむきあう会」が開設して1日で1周年を迎えた。だが、設立に奔走した前理事長の医師、西村元一さんはもういない。半年前の5月末、胃がんでこの世を去った。享年58。理事長を継いだ元一さんの妻詠子さん(58)は「私自身もこの場に支えられた」と振り返る。(押川恵理子)

 活動に賛同する市民から無償で提供されている4階建てビルの1階に、「コミュニティルーム」がある。臭いに敏感な患者に配慮し、壁には吸収性の高い珪藻土(けいそうど)。板張りの床、木製のいすなどで、温かみのある雰囲気になっている。

 平日午前11時〜午後3時、看護師らスタッフが患者や家族を迎え、医療機関への不満のほか、家族、お金の問題などの話も聞く。利用者は1日数人で、2時間近く滞在する人も。リピーターが少なくない。副理事長で歯科医師の綿谷修一さん(69)は「病院と患者との隙間を埋め、じっくり寄り添えていると思う」と、手応えを語る。

画像打ち合わせをする「がんとむきあう会」の西村詠子理事長(左)とスタッフ=金沢市石引で

 コミュニティルームのテーブルには、元一さんの遺影が飾られている。詠子さんは「ランチと旅行好きな専業主婦から、急に表に立つ立場になった。あっという間のような、長かったような」と振り返る。

 数年前、詠子さんはぼうこうがんを患い、肺がんも疑われた。ぼうこうがんは切除し、後に肺がんではないことが判明したが、一時は死を覚悟した。「私の死を引きずらず、主人と子どもは笑って生きてほしいと思った」。自身の経験から、元一さんの他界を「負」と捉えずに前を向く。

 元一さんは生前によく、こう口にしていた。「ここが一つあってもだめだ、こうした場がたくさんできてほしい」。講演会では、作家の故城山三郎さんの言葉を引用して支援を訴えた。「あれこれ考えるより作るのが先決だ。まずいところがあれば、動かしながら直していけばいい」

 詠子さんはその遺志を踏まえ、「直すことは私たちがやっていけたら。同じ志を持つ仲間を増やしたい」と活動を続ける。

 1周年を記念し、3日、詠子さんとがん患者を支援する「マギーズ東京」「ともいき京都」スタッフが、元ちゃんハウスで講演する。座談会もある。入場無料。問い合わせは「がんとむきあう会」=電076(232)5566=へ。

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