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不妊手術強制 国を提訴へ 「旧優生保護法は違憲」 宮城の女性 全国初

(2017年12月4日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

 旧優生保護法(1948〜96年)に基づき、知的障害を理由に不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、宮城県内の60代女性が、国に損害賠償を求めて来年1月に仙台地裁に提訴することが分かった。旧法に基づく不妊手術は同意がある約8500件を含め、全国で約2万5千件が確認されているが、国への提訴は初めて。

 関係者によると、女性は重い知的障害があり、10代で不妊手術を受けた。事前に医師側から手術の説明はなかったという。女性は手術後、腹部に痛みを訴えて入院。悪性ののう腫が見つかり、右卵巣を摘出した。

 不妊手術が原因で結婚も破談になり、女性側は「旧法は幸福追求権などを保障する憲法に違反する」と主張する見通し。女性の代理人を務める新里宏二弁護士は「声を上げたくても、上げられない被害者は多い。訴訟を通じ、全国に問題提起したい」と述べた。

 女性は今年6月、県に対し、不妊手術について記録した「優生手術台帳」の情報開示を請求。7月に全国で初めて開示され、手術を受けたのが72年12月で当時15歳だったことや、疾患が「遺伝性精神薄弱」とされていたことが判明した。

 旧優生保護法は、精神疾患や遺伝性疾患、ハンセン病などの男女に対し、人工妊娠中絶や本人の同意がない不妊手術を認めた。96年に障害者差別に該当する条文が削除され、母体保護法に改定された。改定までに不妊手術約2万5千件のほか、人工妊娠中絶も約5万9千件に上る。

 2016年には国連の女性差別撤廃委員会が、被害者が法的救済を受けられるよう日本政府に勧告。日弁連も今年2月、国に実態調査や謝罪を求める意見書を出したが、国は「当時は適法だった」と応じていない。

 旧優生保護法 「不良な子孫の出生を防止する」との優生思想に基づき1948年に施行された。ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法を前身とする。知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に本人の同意がなくても不妊手術を認めた。同様の法律により不妊手術が行われたスウェーデンやドイツでは、国が被害者に正式に謝罪し補償を行っている。

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