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医療ケア必要な子 地図で救え

(2017年12月12日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する

滋賀医科大・底田助教が開発中 個別の症状や災害時の診療所を掲載

画像地図の開発を進める底田助教=大津市瀬田月輪町の滋賀医科大で

 医療的ケアが必要な子どもが増える中、滋賀医科大小児科の底田辰之助教が、地理情報システム(GIS)を活用した医療情報地図を開発中だ。子どもの医療データのほか、災害時の避難所や診療所の情報を載せ、介護する家族に情報提供する考えだ。全国的に珍しい取り組みで、早ければ2018年度から大学病院内で試験的に運用を始める。(浅井弘美)

 医療的ケアが必要な子どもたちは、難病や重い障害のために、日常的に人工呼吸器やたんの吸引、胃ろうによる栄養の注入などが必要で、医療技術の進歩で年々増えている。

 開発しているのは、こうした子どもの自宅のほか、災害時に駆け込める非常用電源を備えた避難所や学校、近くの医療機関や福祉施設の場所が表示される電子地図。子どもの自宅をクリックすると、病名や呼吸器の有無、服用している薬やかかりつけ医の情報も見られるようにする。

 県などによると、心身に重い障害のある医療的ケアが必要な子どもは、今年4月1日時点で880人いる。ただ、近年は体が動かせるなど症状が比較的軽い子どもも増えつつあり、全体像はつかめきれていない。さらにどの地域に住み、どんなケアを受けているのかは分からず、家族は日常生活で外出する機会が限られるため、社会的に孤立しながら介護するケースが少なくないという。

 現状のままでは、ケアが必要な子どもは災害時に行き場をなくしてしまう−。危機感を抱いた底田助教は、6月ごろから、診察などの合間を縫って、大学病院に通院する自身の患者を中心に情報を収集。大学内の他の医師にも協力を呼び掛け、来年3月までに約50人分の情報を集める見込みという。

 将来的には、県内でケアが必要なすべての子どもの情報を落とし込み、医療機関で情報を共有。災害時の円滑な対応につなげたいという。ただ、個人情報保護の観点から、情報収集がスムーズにいかず、すべての情報をとりまとめるのは容易ではない。

 底田助教は「ケアが必要な子どもは、災害が起きた時、支援の優先度が高い。自宅近くで診てもらえる医師がいるか、避難できる場所があるか、知っておくことは大切」と強調した上で「医療機関全体で使うことができる地図にするため、県の協力は欠かせない」と期待している。

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