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人工分子 医薬品開発に応用 健康・医療の可能性を拓く 静岡大・中日新聞連携講座

(2017年12月14日) 【中日新聞】【朝刊】【静岡】 この記事を印刷する
画像分子を利用した医薬品開発について解説する鳴海哲夫准教授=浜松市中区で

人工分子 医薬品開発に応用  第4回鳴海准教授

 静岡大と中日新聞の連携講座「健康・医療の可能性を拓(ひら)く」が12日、浜松市中区の静岡大浜松キャンパスで開かれた。第4回のこの日は「医薬品開発を加速する分子のチカラ」と題し、同大大学院総合科学技術研究科の鳴海哲夫准教授(38)が話した。要旨は次の通り。 (大城愛)

 病気の原因となるタンパク質に、くっつく分子を人工的に合成している。分子がタンパク質に結合することで、例えばエイズウイルス(HIV)のヒト細胞への侵入を防いだり、アルツハイマー病の原因タンパク質をマークして早期発見に役立てたりすることができる。設計した分子を病気の治療や検出などの医薬品開発へ応用し、医療に貢献することが最終目標だ。

 分子の中でも特に世界中で注目を集めているのが「ペプチド」。従来の医薬品と比べ治せる病気の範囲が広く、安い生産コストが期待でき、研究室でも実験を進めている。

 似た形をした分子は、性質や機能も似ている。この特性を利用し、創薬や製品の開発では、もともと存在する有効な分子の一部を作り替えて、機能性は失わないまま、酸や光などのストレスに強い分子へと改良していく。

 ペプチドは生体内で分解されやすい欠点がある。お肉のようなイメージで、口から摂取すると胃酸で分解されるため、薬として機能できない形になってしまう。そこで、既存のペプチドの抗HIV薬を用いて、酸によって切れやすい部分を変えて分解されにくい薬を作ろうとしている。

 ほかにも、アルツハイマー病の原因ともなる脳内にできた異常タンパク質を検出する既存の薬剤は、光に弱い。この分子構造の中に塩素を入れたところ、機能を保ったまま光安定性が6倍に上昇する結果が得られた。

 このように、人工的に分子を設計することで、新しい機能や価値を見いだすことができる。

 講座は次回で最終回となる。1月16日午後6時から静岡大浜松キャンパスで。浜松医科大学の山本清二理事・副学長が「手術が変わる!〜メディカルフォトニクスの新技術」と題して講演する。

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