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かかりつけ医が一役 県内高齢者の免許返納 認知症診察で促す

(2017年12月17日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
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 認知症の恐れのある高齢ドライバーが運転免許証を自主的に返納するのに、「かかりつけ医」による診断が一役買っている。静岡県医師会と県警が進める制度で、判断力が低下した高齢者の事故を防ぐ有効手段の一つでもある。信頼する医師の説明ならば納得できるという側面もあり、今後さらに事例が増えそうだ。 (瀬田貴嗣)

 今年3月に施行された改正道交法では、75歳以上の高齢ドライバーに、免許証更新時と一定の交通違反をした場合に、記憶力や判断力をチェックする認知機能検査を義務付けている。「認知症の恐れあり」と判定されたドライバーは医師の診察を受け、診断書を警察に提出しなければならない。

 認知症と診断されると免許停止か、取り消しを受け、認知症でなければ引き続き免許証を持つことができる。

 ただ、警察庁が示した診断書の様式はアルツハイマー型などの認知症の種類を記す項目があり、専門医でなければ正確な診断が難しい。県医師会は県警と相談し、施行に合わせて認知症の有無のチェックだけで済むように様式を変更。専門医ではない、かかりつけ医の診断も有効にした。

 高齢者の免許返納には、車を運転できずに生活が不便になる場合、了解が得にくいという課題があった。県医師会によると、かかりつけ医が認知症と診断しなくても、免許証の自主返納を促すことで、高齢者は自分の運転能力を受け入れ、返納する効果が出ているという。

 実際、県内では、認知機能検査で「認知症の恐れあり」と判定され、医師に認知症と診断されなかったにもかかわらず、免許証を自主返納した高齢者は9月末時点で484人に上り、全国で最多。一方、警察庁によると、全国で認知症と診断され、免許取り消し・停止に至った高齢者は9月末時点で684人いるが、県内では2人にとどまっている。

 県医師会の森貴志事務局長は「自主返納により事故が減ると、死者やけが人も減ることになる」と強調。県警運転免許課の市川吉郎次席も「交通安全のために、判断力があるうちに返納してもらえるのはありがたい」と歓迎する。

 免許証返納の高齢者が県警発行の「運転経歴証明書」を提示すると、割引やサービスを受けられる店舗もある。県警などはより多くの企業や店舗に協力を呼び掛け、返納しやすい環境づくりと返納後の支援策を充実させる。

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