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角膜移植 献眼の活動 静岡けん引 全国的には不足 登録訴え

(2017年12月18日) 【中日新聞】【朝刊】【静岡】 この記事を印刷する
画像角膜移植について説明する堀田喜裕県アイバンク理事長=浜松市東区の浜松医科大で

 2010年の改正臓器移植法の施行後も提供件数が伸び悩んでいる眼球。静岡県が提供活動をけん引しているものの、角膜移植を待つ患者は16年度末時点で、全国に2千人ほどいる。関係者は「数が足りていない。目の病に苦しむ人たちに光を」と献眼登録を訴えている。

 角膜は、黒目を覆う透明な組織(厚さ約0.5ミリ、直径1センチ程度)。病気やけがなどで変形したり、濁ったりすると視力低下などを招く。亡くなった人からもたらされる角膜を移植すれば、視力が回復するという。

 角膜移植を受けた浜松市中区で看板製造会社を営む新井和美さん(48)は、鉄柱の切断作業で粉が目に入り、次第に視力が低下。20代後半から痛みを感じるようになったという。角膜が突き出る「円錐(えんすい)角膜」と診断され、13年に手術を受けた。「かつては右目の視力がなかったが、0.3まで戻った。拒絶反応が出ずに、片方の目だけの生活から解放された」と感謝する。

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 改正臓器移植法の施行で、眼球についても本人の意思が不明でも家族の承諾で提供できるようになったが、現状は厳しい。日本アイバンク協会によると、16年度、移植で使われたのは約1500個だった。献眼者数は830人で、感染症などで使えないケースもあるという。

 県アイバンク理事長の堀田喜裕・浜松医科大教授は、眼球の不足分を海外からの輸入に頼っているとし、不正な売買をなくすためにも自国で確保する必要があると強調。角膜が濁り、視力の落ちる「水疱(すいほう)性角膜症」などの患者にとって移植が欠かせないという。「献眼者に角膜疾患のある場合などを除き、白内障や乱視、近眼の人の角膜も生かせる」と説く。

 県内では、長く献眼活動が盛んだ。各ライオンズクラブのPR活動が功を奏しており、16年度の献眼者数は106人と愛知県に次ぐ多さだった。このうち約4割を占める小山町では、登録者が死亡した際、防災行政無線で名前などに加え「献眼されました」と伝えるなどして定着を図っている。16年度は死亡者の5人に1人が献眼した。

 ただ、こうした活動は全国的に異例。同協会の泉厚彦事務局長は「献眼登録した方が亡くなられたときに遺族の反対で実現しない場合もあり、PR不足が課題」と漏らす。全国54カ所のアイバンクで登録ができるとし「善意の手を差し伸べてもらえるよう啓発に努めたい」と話す。

 献眼登録などの問い合わせは県アイバンク=電053(433)3331=へ。 (古根村進然)

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