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〈生活部記者の両親ダブル介護〉(31) 手術は成功

(2017年12月6日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

不安嘆くより行動を

画像手術から3日後には父も平静を取り戻しました。私が病室を去る際は、拘束具が付いたままの手を上げてくれました

 父(80)の下あごの手術は無事成功した。切開部からの出血も少ない。翌日には集中治療室から一般病棟に移る。「手術が成功して良かったですね」。あごを支えるサポーター越しに、父の耳元で祝意を述べる。

 だが、当人は相当にご機嫌ななめだ。サポーターに逆らって口から発する音声と、私に向けるつり上がった目で明らかだ。「グオー」。父は両手に装着された拘束具を外そうと必死だ。巨大な手袋という感じか。いくつも管につながれ、あちこち痛く、かゆく、気持ち悪い。父の脳内では、身体各所の不快な警報音が鳴り響いているはずだ。せめて手探りで自分の状態を確かめたい。だが、手が動けば自分で管を抜きかねない。ふたたび父の耳元で言う。「お父さんのためを思って、この耕喜が『拘束同意書』にサインしたのです。『父は意外と力があるので、きつめで構いません』とも頼みました」

 言葉にすれば「何だと!」という目を向ける父にさらに言う。「そうそう、『お父様へ』と、どら焼きを頂戴しました。でも、お父さんは絶食中。賞味期限も迫り、やむを得ず耕喜が頂戴しました」。笑みを浮かべて父を見つめると、父は脱力したように両腕を下ろした。

 時々医療の世話になり、なんとかしのいでいる。いろんな制度を組み合わせれば、決して介護は怖くない。まず初めにそう教えてくれたのは、ケアマネジャーさんだった。何が不安なのか分からない。これこそ不安の正体だ。その正体を暴くには、まず動かねば。ケアマネさんの来訪をスタートに、父に介護認定を受けてもらうことになった。 (三浦耕喜)

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