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若年性認知症 支え合いの輪

(2017年12月22日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

金沢の「カフェ」悩みや不安共有

画像流しそうめんを楽しむ若年性認知症の当事者と家族ら=つむぐ会提供

 金沢市内で8月に始動した若年性認知症の当事者や家族の集い「若年性認知症カフェ Haunt(ハウント)」で、医療や福祉関係者も加わり徐々に交流の輪が広がっている。周囲に発症を打ち明けられずに孤立する当事者や家族は多いが、石川県内で同様のカフェはわずか。ハウントは同じ境遇の人が安心して悩みや不安を吐露し、支え合える数少ない場として定着しつつある。(太田理英子)

 12月上旬、市内の飲食店で開かれたカフェ。40〜60代の当事者と家族、福祉や法曹関係者ら約15人が集まった。当事者の席は互いの趣味などの話で盛り上がる一方、家族の席では当事者の言動への対応などが話題になっていた。

 当事者の夫と時々参加する金沢市近郊の50代の女性は、夫が怒りっぽくなったり焦った様子になったりする症状への対応が分からず、精神的負担で自身が体調を崩すことも。カフェで出会った家族から「そっとしておいても大丈夫」と励まされ、気が楽になったという。

 初回から参加している野々市市の女性(33)は、3年前に診断を受けた母親(63)が楽しそうに参加者と話す姿を見て、胸をなでおろす。母親は発症を理由に退職してから人間関係が希薄になり、自ら「変な目で見られる」と人を避ける様子もあったからだ。

 若年性認知症は働き盛りで発症し、記憶障害などの症状が生じるため、仕事や子育てに深刻な影響が及ぶ。カフェを企画する「若年性認知症の人と家族と寄り添いつむぐ会」が2015年夏に県内241の医療機関に実施した調査によると、14年7月〜15年6月末までに受診や相談が確認されたのは計102人。その60%は発症時に就業していたが、大半は退職か休職をし、職場で配置転換をされた人は全体の1%程度だった。経済的にも窮地に立たされる当事者と家族は多いが、専門の相談機関は少ないのが現状だ。

 カフェは金沢市内で月1回開かれ、芋煮会などのイベントもある。口コミで、新たな当事者、家族の参加が増えているという。最近は仕事で当事者と接するケアマネジャーや社労士らも訪れるようになり、障害年金の手続きなど必要な情報を共有するとともに、支援のあり方を参加者と模索している。

 同会副代表の道岸奈緒美さん(43)は「カフェは孤立しがちだった人たちが新たな人間関係を築き、皆で支え合う場になる。地域の人とともに、暮らしやすい環境づくりにつなげていけたら」と期待する。問い合わせは同会=電080(8698)5774(平日午前9時〜午後4時)=へ。

 若年性認知症 65歳未満で発症する認知症。厚生労働省の2009年の推計では、全国で約3万8000人が発症しているとみられる。発症年齢の平均は51.3歳。女性よりも男性の方が多いとされる。脳卒中などによる脳血管性認知症やアルツハイマー病が大半を占める。

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