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薬 飲み残しゼロへ一 掛川市が調整希望カード

(2017年12月28日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

生活習慣病患者向け 医療費減狙う

薬の飲み残しを減らそうと、静岡県掛川市が配布している残薬調整希望カード=同市役所で薬の飲み残しを減らそうと、静岡県掛川市が配布している残薬調整希望カード=同市役所で

 たくさんの薬を処方されるお年寄りが、飲みきれずに残してしまう残薬問題。静岡県掛川市は、患者が手元に残った薬について医療機関や薬局に相談できる「残薬調整希望カード」を無償配布している。医師や薬剤師に提示すると、薬の量や種類を調整してくれる。市民の健康管理と医療費削減を目指した取り組みで、全国的にも珍しい。 (赤野嘉春)

 カードには「飲み残しのお薬がありますので、調整をお願いします」と明記され、患者は診察券、お薬手帳と一緒に提示する。病院で医師は、患者に飲み忘れた薬を聞いたり、手帳の履歴を見たりして、薬の重複や使用期限を確認し、新たな処方分を減らす。薬局では、薬剤師が同様に確認後、医師に問い合わせて処方箋を修正してもらう。

 高血圧や糖尿病など、1カ月分の薬を処方される生活習慣病の高齢患者を想定した試み。市国民健康保険年金課の佐野孝芳課長(56)は「お年寄りは複数の医療機関を重複して受診する方が多く、同じ薬が重ねて処方されたり、自分の判断で服用を減らしたりするケースが多い」と指摘。飲み残しの注意喚起に加え、薬代の二重支払いを防ぐことにもつなげる。

 同市の国保給付費(2017年度推計)は80億円。そのうち調剤にかかる経費が20億円と試算される。高齢化の進展で生活習慣病患者が増加し、調剤経費の増加もいっそう見込まれる。市は効果的な保健事業を進めるため、2015年9月からジェネリック(後発医薬品)の希望を明記したカードを配布。取り組みの第2弾として残薬調整希望カードを翌年9月に作製した。これまでに市役所や支所の国保担当課、医療関連イベントで希望者1万4千人に配った。

 残薬問題では、飲み残し薬を茶色の袋に入れて、直接薬局に持ち込むブラウンバッグ運動が、欧州で広まっている。

 国内では九州や中国地方が先駆的に取り組み、県内では島田市の一部をモデル地域として県などが試行的に実施している。佐野課長は「袋は行政が用意するケースが多く、財政負担が必要。まずは残薬問題を市民に理解してもらうことが先決」と、残薬調整希望カードを先駆けて導入した。医師会や薬剤師会と連携して利用状況を把握し、18年度に改定する6年間の国保事業にお薬手帳の普及に併せてブラウンバッグ運動の導入を目指す。

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