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身体拘束ゼロ 金大病院挑む

(2017年12月30日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

看護部長提案で4年目 「苦痛より癒やしを」

「何が患者の支えになるか現場の看護師が考えることが大切」と話す小藤幹恵部長=金沢市宝町で「何が患者の支えになるか現場の看護師が考えることが大切」と話す小藤幹恵部長=金沢市宝町で

 金沢大病院(金沢市宝町)が、患者の体をベッドに固定する身体拘束をしない取り組みを進めている。2014年春から始めたが、拘束せざるを得ない状況がどうしてもでてくる。「患者を癒やすのが医療なのに、苦痛を与える拘束はおかしい」。そう訴える小藤幹恵・看護部長を中心に「拘束ゼロ」に挑み続けている。(堀井聡子)

 小藤さんの呼び掛けで、金沢大病院は14年に「抑制するのではなく、患者がしたいことを支えるケア」を掲げ、ストレスがたまらない看護を心掛けている。拘束はストレスだけでなく、血液の循環を悪くし、床擦れや血栓ができる。

 取り組みを始めた当初は、集中治療室(ICU)を除く病棟全体で身体拘束が月6、7件あった。昨年12月、ようやくICUも含めて拘束ゼロを達成した。だが、その後は月に1、2回、やむを得ず拘束することがたびたびあった。

 小藤さんは「認知症などで自分の状況を把握できず、要望をうまく伝えられない患者もいる。患者が体につながれたチューブを抜いたり、ベッドから転落したりするのを防ぐため拘束するケースがある」と話す。

 しかし、拘束しない方法を模索する看護師の姿勢は、患者の家族にとって救いになっているという。「拘束される患者を見るのは家族もつらい。患者のために何ができるか一緒に考えることで、家族も安心する」

 患者が好きな音楽を流して安心させたり、つらそうなときに手を握ってあげたり。拘束せざるを得ないときでも、次第にやめるタイミングが分かるようになり、拘束時間も短くなった。

 「拘束ゼロに取り組むことで、より深い看護ができるようになった」と振り返る小藤さん。「患者の様子をよく見て看護師間で情報を共有し、患者のストレスがたまらないようにすれば、拘束する必要はない」と静かに語る。

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