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訪問主体の医師 黒瀬亮太さん(44)=金沢市

(2017年12月31日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【石川】 この記事を印刷する

療養 その人らしく

患者の自宅を訪問して話に耳を傾ける黒瀬亮太さん=金沢市内で患者の自宅を訪問して話に耳を傾ける黒瀬亮太さん=金沢市内で

 病気になっても、できるだけわが家で暮らしたい。そう願う人は多い。金沢市の医師黒瀬亮太さん(44)は8年前から訪問診療主体の「金沢ホームケアクリニック」(同市大友)を開業する。在宅で療養生活を送る患者を訪問し、一人一人の状態に応じて必要なケアを提供している。

 「お変わりありませんか」。訪問先では穏やかに声を掛け、たわいない雑談を交わしながら措置を施し、状態を確認していく。ある日訪れた、ともに85歳の夫婦宅。夫が糖尿病などで総合病院に入院していたが、今年4月から在宅医療に切り替えた。

 「検査、検査で心が落ち着かなくて『わし退院します』と言うたんや」と夫。歩くのもやっとの状態だったが、外を散歩できるまでに回復した。「会うたびに元気になりますね」と黒瀬さんが言うと、妻が「けんかばっかりするから刺激があっていいんです」。和やかな笑いに包まれた。

 中学生のころに医師を志し、地域医療の担い手を養成する自治医科大で学んだ。出身県の医療機関に一定期間勤めれば学費が免除になる制度があり、卒業後は県立中央病院や能登地方の医療機関で勤務した。

 半年間勤めた舳倉島(輪島市)の診療所では「釣り針が引っかかった」「膝が痛い」などと、いろんな患者がやってきた。毎日ドキドキしながらも「病気を診るより人を診る」面白さを実感。9年間の義務年限を終了した後、現在のクリニックを開業した。

 患者には月2回以上、定期的に自宅を訪問。院外の訪問看護師や薬剤師、ケアマネジャーらとも連携し、家族もともにチームワークで在宅生活を支える。

 診療では生活や家族の背景も含めて患者全体を診て、その患者にとって本当に必要な医療を提供するよう努めている。在宅医療のメリットを「必要な医療をいつでも必要最小限、自宅で受けられること」と語り「悪いところよりもいいところを探し、その人らしさを尊重したケアを提供したい」と力を込める。

 ただ在宅医療の認知度は低く、医療機関や医師の受け皿も十分とは言えない。「望む人にあまねく行き渡るように、在宅医療についてもっと知ってほしい。僕も努力していきたい」 (小室亜希子)

 くろせ・りょうた 金沢市生まれ。クリニックは木曜午後のみ外来も実施。仕事の傍ら、地域で子どもやお年寄りを相手に将棋を教えている。

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