つなごう医療 中日メディカルサイト

ドクターヘリ 県が導入検討 共同運航へ隣県と協議

(2018年1月9日) 【中日新聞】【朝刊】【福井】 この記事を印刷する

 救急搬送態勢の強化に向け、県がドクターヘリの導入について検討を進めている。地域の医療格差を埋める手段として有効だが、導入には初期投資や運航経費などがネックになる。県は単独運航にこだわらず、隣接県で導入済みの滋賀、岐阜と事務レベルで協議を始めた。まずは共同運航の可能性が高まってきた。

 「嶺南の病院での治療には限界がある。福井までの搬送に患者が耐えられないと判断された事例もある」。昨年12月にあった県議会本会議の一般質問で、敦賀市選挙区の力野豊議員(県会自民党)は、福井市周辺に基幹病院が集中する問題を指摘し、ドクターヘリの導入を求めた。

 福井県は、人口10万人当たりの医師数が240人(全国平均234人)、病床数が1257床(同1047床)。県全体では全国平均を上回るが、奥越と丹南、嶺南では下回る。県によると、県内の救急搬送時間は31分で全国3位の早さ。ただ西川一誠知事は「救急出動件数の増加や災害時の活用など、救急医療体制の充実が必要」との認識を示す。

 導入への壁は費用だ。運航方法は単独と共同の2つがある。県地域医療課によると、単独の場合はヘリの格納庫や給油施設など初期投資で4億円が必要。加えて毎年の経費として運航会社への委託料が2億円、医師らの人件費が2千万円となる。運航費は国庫補助が2分の1あるため、特別交付税措置を考慮すると県の実質負担は2千万円と試算される。

 共同は初期投資が不要で、運航費だけで済む。滋賀は嶺南、岐阜は奥越をカバーできるとみられる。既に滋賀は京都と、岐阜は富山と広域での運用を始めている。例えば嶺南地域に限定して滋賀と共同運航すると、費用は一運航につき20万〜40万円になる。

 共同運航の本格協議には病院関係者のほか、ヘリと接続する救急車を動かす市町の消防も巻き込む必要がある。単独運航は実現までに2、3年を要するが、共同運航なら1年内に開始できるという。嶺北の海岸線をカバーするため、県は今秋に導入予定の石川県とも協議を進める考え。

 一方、県は単独運航の可能性も捨てていない。ドクターヘリの有無が、研修医が勤務先を探す際のポイントになり、結果的に医師確保にもつながるためだ。県地域医療課の姫川祐一課長は「災害などを考えると、単独運航と共同運航を組み合わせるのがベスト。多額の税金を投入することになるが、人命には代えられない」と話す。県は3月末に「第7次県医療計画」を策定し、ドクターヘリの方針を明記する。

画像

 ドクターヘリ 救急医療ができる機材を積み、操縦士と整備士、医師、看護師が搭乗し患者のもとへ飛ぶ専用ヘリ。運航は日中のみで、50〜70キロの範囲で効果が高いとされる。陸路や水路で搬送した場合より死者を3割近く減らせるとの推計もある。阪神大震災を機に導入機運が高まり、昨年12月時点で福井、石川、東京、香川を除く43道府県(共同運航含む)が導入済み。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人