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被ばく医療拠点 11府県が未指定 静岡など「めど立たず」

(2018年1月9日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
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 東京電力福島第一原発事故を教訓に見直された緊急時の被ばく医療体制で中核を担う「原子力災害拠点病院」について、国から指定を義務付けられた24道府県のうち11府県が未指定であることが、原子力規制委員会などへの取材で分かった。対象自治体によると、原発事故時の被ばく患者受け入れによる風評被害を懸念する病院が多く、専門知識を持つ医療従事者も不足している。

 規制委の再稼働審査に7原発14基が合格した一方、拠点病院の整備は遅れており、原発事故が起きて多数の住民が被ばくした場合、受け入れや治療がスムーズに進まない可能性がある。規制委は速やかな指定を求めており、指定要件など必要な制度見直しを2018年度に行う。

 未指定11府県には、岐阜、富山、石川などが含まれる。このうち、新潟、静岡、岡山、山口は「指定のめどが立っていない」。他の府県は「本年度の指定を目指す」などだった。

 未指定の理由について複数の自治体担当者が「病院側が、被ばく患者受け入れによる風評被害を懸念している」と明かす。「他の患者に敬遠されないか」「院内の設備に放射性物質が付着しないのか不安だ」などの声も寄せられているという。

 指定要件に合う病院を確保できないケースも目立つ。一部の自治体には、そうした現状で原発再稼働を急ぐのは「人命軽視だ」との声もある。

 規制委が審査中の中部電力浜岡原発が立地する静岡県は「協議中の病院に被ばく患者を処置する部屋がない」と説明。17年12月に審査に合格した東電柏崎刈羽原発がある新潟県は「線量測定器や防護服が足りていない」とした。

 第一原発事故では、原発に近い病院が被災して医療従事者が避難し、従来の被ばく医療体制が十分に機能しなかった。規制委は15年8月、原子力災害対策指針を改定。原発の半径30キロ圏に含まれるか核関連施設がある計24道府県に、原子力災害拠点病院の指定を義務付けた。各道府県が、地域で救急や災害医療を担う災害拠点病院から1〜3カ所程度を選定する。

 病院が指定を受けるには、専門知識を持つ医師や看護師のほか、除染室や内部被ばく測定機器の設置などが必要。事故時は、被ばくの恐れがある住民らを原則全て受け入れる。対応できない高線量被ばく者は、広島大など5カ所にある国指定の「高度被ばく医療支援センター」が治療に当たる。

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