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内視鏡で「理想の手術」 名古屋市立大大学院 瀧口修司さん

医人伝

(2018年1月9日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

名古屋市立大大学院(名古屋市瑞穂区) 医学研究科 消化器外科学教授 瀧口修司さん(50)

画像内視鏡手術と教育をライフワークとする瀧口修司さん

 開腹せず患者に負担の少ない胃がんの内視鏡手術を大阪大で極め、昨春、名古屋市立大の消化器外科の教授に就いた。

 「もともと人の体に傷をつけるのは好きではないんです」。大阪大を出たてのころは内科志望。そこで出会った患者が外科医への道を開いてくれた。30代の重症膵炎(すいえん)の女性。内科で懸命に治療をしていたが行き詰まり、手術で治っていく姿を目の当たりにした。「手術は痛い思いをさせるけど、人を幸せにできるんじゃないか」。できるだけ患者に負担をかけない手術に関心を持ち始めた。

 内視鏡手術が日本でも取り入れられ始めた1990年代の初め。術後の患者が翌朝にはすっと立ってすたすた歩く姿に感動と衝撃を覚えた。開腹したらベッドから動けず「4、5日安静に」が常識だったのに。

 今ほど機器の性能が良くなかった当時、内視鏡手術は職人業の色が濃かった。豚の胃を買って練習し、他院の新しい技術も積極的に取り入れ、トレーニングを積んだ。これまでに1200例以上を手掛け、大阪大での胃がんの内視鏡手術の割合は2015年には90%近くに。十年間でほぼ倍増させた。各地での指導が増えた今も、自身の手術ビデオを見返し、研究を続ける。

 無駄のない確実な操作は手術時間を短くし、出血量を少なくする。手術後の状態に大きく影響するわけではないが、患者の満足につながる。「自分の理想の手術像を持ち、近づいても次の理想を見つける。それがプロ。手術に勝ち負けはないが、よその先生のビデオを見て、負けたと思うこともある」と語る。

 新天地の名市大で「体育会系」の外科メンバーにまず呼び掛けたのが「良い手術をしよう」。各自が理想の手術像を持ち、部位別や全体での症例検討を徹底し、信頼して患者を任せてくれるよう開業医との連携も強化する。「良い手術なんて、患者からしたら当たり前だが、すごく努力が必要」と気合を入れる。

 腹部などにメスやカメラ付きのロボットアームを入れ、三次元画像を見て医師が遠隔操作で手術する「ダビンチ」など、肉眼よりよく見えるカメラや手ぶれ補正を備えた高性能機械が登場。傷を小さくできるという理由ではなく、開腹より良い手術ができるとの理由で内視鏡が選択される時代になった。「外科の進歩は小さな工夫の積み重ね。最先端の手術を安全に提供したい」 (小椋由紀子)

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