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がん治療 貢献目指す 富大院客員研究員 パラス・ジャベイドさん(30)

(2018年1月15日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【富山】 この記事を印刷する
画像がんの効果的な治療方法の確立を目指し、研究するパラス・ジャベイドさん=富山大杉谷キャンパスで

 がん治療に用いる放射線や超音波にナノ粒子を併用した効果的な治療法を確立しようと、母国パキスタンから約7千キロ離れた富山市の富山大大学院医学薬学研究部で研究を続けている。幼い頃から医者を夢見て勉学に励み、2児の母となった今も異国の地で子育てに奮闘しながら、「将来は医者、研究者として母国に貢献したい」と高い志を持つ。(山中正義)

 −来日の経緯は。

 結婚がきっかけ。当時、主人が富山大大学院に通っていたので富山に行くことを決めた。パキスタンで研究しようと思っても、試薬が届かないなど研究環境が不十分だし、何かと待つことが多く、学位を取るのに時間がかかる。日本は決められた期間内に取ることができ、良い機会と思った。

 −なぜ医学分野に。

 いとこが医者で、子どもの頃から医者になるのが夢だった。私が医者になることは家族にとっても名誉なことで、両親も同じ思いだった。高校卒業後には、地元大学の医学部に進学するため、半年間は自宅で1日12時間の猛勉強をした。

 −研究内容は。

 ナノ粒子を使ったがん治療の研究をしている。ナノ粒子は現在、医学などさまざまな分野で応用され、抗酸化作用があると知られている。身近なものでは、チューインガムにも入っている。こうしたさまざまなナノ粒子を(がん治療で使う)放射線や超音波、プラズマと併用する実験を行ってきた。例えば、金のナノ粒子は超音波と併用すると、がん細胞を殺す増強作用があることなどが分かった。

 −今後の目標は。

 これまではがん細胞でしか実験をしていないので、動物を使って実験して成果を証明したい。細胞と同じ結果が得られたら、それは私たちの将来にとってとても良いこと。ただ、治療に使うにはもっと研究が必要だし、患者への臨床試験もしなければいけない。将来は医者として病院で働きながら、研究も進めたい。がん患者の治療に貢献できたらうれしい。

 −富山の印象は。

 富山の人はとても親切だと思う。初めて来日したときは日本語が分からなかった。富山の人に何か尋ねると、みんな日本語で説明してくれるんだけど、話し方がとても礼儀正しく、親切だから内容を理解できた。あと、富山の自然もすばらしい。パキスタンもきれいだけど、こんな豊かな自然を見たのは初めて。

 パラス・ジャベイド 1987年11月3日生まれ。パキスタン南部のカラチ出身。2011年に地元大学の医学部を卒業し、その後、博士号を取得するために富山大大学院医学薬学教育部に進学した。修了後の17年からは外国人客員研究員として、同院医学薬学研究部(医学)の放射線診断・治療学講座放射線腫瘍学部門の近藤隆学長補佐・名誉教授の下で研究を続けている。同年7月には、「国際癌(がん)治療増感研究会」の国際研究奨励賞を受賞した。

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